文章を書く仕事なら家でもできそうだと思って調べ始めると、文字単価いくらという話ばかりが出てきますよね。
その数字を追いかけるほど手取りが減っていく、という話はあまり書かれていません。
先に置いておきます。
在宅ライターの副業で受け取る額を決めているのは、文章のうまさではありません。相手の手間をどれだけ引き取れたかです。
そこが分かると、同じ時間を使っても値段の上がる仕事と上がらない仕事が割れます。
この記事では、受ける仕事の中身を4つに分けたうえで、未経験からの入り方、報酬の数え方、仕事の入口、勤め先の規則と税の手続きまでを順に置きました。
テンねえオズ、文章を書く仕事っていちばん始めやすいって聞くんだけど、本当?



始めるだけなら、たしかにいちばん早いです。
ただ、始めやすい入口ほど値段が下がりやすいという裏側があります。
そこを知らずに入ると、半年たっても時給が動きません。
在宅副業を5つの型に分け、金額の壁ごとの作り替え方まで見たい方はこちらから。


1. 副業の在宅ライターは未経験でも稼げるのかを整理
在宅ライターの副業は未経験から始められるのか、というところから見ていきます。
1-1. 応募しても返事が来ないのは、文章の出来のせいではありません
最初につまずくのは、たいてい応募の段階です。
何十件も送ったのに返事が来ない状態が続くと、自分の書く力が足りないせいだと思い込んでしまいます。
ですが、送った文面を見せてもらうと、原因はもっと手前にあることがほとんどでしょう。
相手はあなたの文章をまだ読んでいません。
読む前に、この人に任せて大丈夫かどうかを決めています。
同じ場所で働くなら、仕事ぶりも受け答えも自然に伝わるでしょう。家から受ける形だと、その材料が丸ごと無くなります。
だから応募の文面には、書く力の証明よりも先に、任せたあとに面倒が起きないという材料を並べてください。
連絡がつく時間帯、締め切りの守り方、直しへの応じ方。
この3つが書いてあると、相手は返事を書くかどうかをその場で決められます。
逆に言えば、書く力を上げる努力だけを続けても、この壁は越えられません。
見てもらえていないものは、良くしようがないからです。



えっ、文章を褒めてもらう前の段階で落ちてるってこと?



その段階で決まっている募集は多いです。
読んでもらえるところまで進めば、勝負はだいぶ楽になりますよ。
1-2. 発注する側が減らしたいのは、書く時間ではありません
募集を出す側の事情から見ると、話は分かりやすくなります。
文章を用意したいだけなら、社内で書くという手もあるでしょう。
それでも外に出すのは、書く以外のところで手が足りていないからです。
たとえば、何を書くかを決める、調べて裏を取る、指定の形にそろえる、直しのやり取りをする。
この一つひとつに時間がかかります。
外に頼んだのに、これらが全部こちらへ戻ってくるなら、頼んだ意味は薄いですよね。
ここに、値段の分かれ目があります。
文字を並べるところだけを引き受ける人は、代わりがいくらでも見つかるでしょう。
調べるところ、そろえるところ、直しを減らすところまで引き取れる人は、探すのに手間がかかるので、値段が下がりにくいです。
だから、単価を上げてほしいと頼むより先に、引き取れる範囲を1つ広げるほうが早く効きます。
相手にとっては、払う額が増えても、使う時間が減るなら得だからです。



売っているのは文字数ではなく、相手が使わずに済んだ時間です。
ここを取り違えたまま値段の話をしても、かみ合いません。
2. 受ける仕事の中身で、在宅ライターの副業を4つに分ける


在宅ライターの副業とひとくくりに呼ばれていますが、中身は同じではありません。
引き受ける範囲で4つに分けると、値段の決まり方まで見えてきます。
| 型 | 主に引き受けるもの | 値段の決まり方 | 入りやすさ |
|---|---|---|---|
| まるごと書く | 決められた題で本文を書き上げる | 文字数か記事1本あたり | 入りやすい |
| 調べて確かめる | 取材や裏取りに時間を使う | 調べる手間の重さ | 経験が要る |
| 下ごしらえ | 文字起こし、整文、体裁そろえ | 分量か時間あたり | いちばん入りやすい |
| 企画からまとめる | 題を決め、書き手をまとめる | 件数か月ぎめ | 実績が要る |
2-1. まるごと書き上げて納める形が、いちばん想像しやすい形です
題と大まかな中身を渡され、本文を書いて納める形です。
募集の数がいちばん多いので、探すのに苦労はしません。
文字数に単価をかける出し方が多く、金額の見通しも立てやすいでしょう。
気をつけたいのは、この形がいちばん比べられやすいという点です。
同じ題で同じ分量なら、安いほうが選ばれます。
しかも応募する人の数が多いので、値段が下から押し上げられません。
入口としては正しい選び方です。
ただ、ここに留まり続けると、書く速さを上げる以外に手取りを増やす手が無くなります。
速さには上限があるので、どこかで必ず止まるでしょう。
受けるときは、次の1本で何を1つ足せるかを決めておいてください。
題の決め方に口を出してみる、参考にした資料を添えて渡す、読み手が迷いそうな箇所を先に伝える。
小さな一手でも、積み上がると引き取れる範囲が広がります。



最初はここから入るしかないよね?



そう思います。
入口として使いつつ、次の型へ移る前提で受けるのがいいですね。
2-2. 調べて確かめるところに時間を使う形は、代わりが利きにくいです
書く分量より、調べる手間のほうが重い仕事です。
実際に使った人に話を聞く、公の資料に当たる、数字の出どころを確かめる。
こうした手順が入ると、同じ1本でも必要な時間が何倍にもなります。
そのぶん、引き受けられる人が減ります。
調べ方を知っていて、聞いた話を正しく書ける人はそう多くありません。
だから値段は下がりにくく、続けて頼まれることも増えるでしょう。
未経験からいきなりここへ入るのは難しいです。
とはいえ、前の職場で扱っていた分野なら話は別になります。
その分野の言葉が分かるというだけで、調べる時間が大きく縮みます。
入り方としては、まず書く仕事を受けながら、調べたことを自分から足していく形がやりやすいでしょう。
頼まれていない裏取りを1つ添えるだけでも、次から調べ物ごと任されるようになるでしょう。
そうやって範囲が広がると、単価の話はこちらから切り出さなくても動きます。
調べ物まで任される立場になると、書く前の打ち合わせにも呼ばれるようになります。
そこまで来れば、値段は相手と一緒に決めるものに変わるでしょう。
受け身で単価を待つ状態から、いちばん遠いところです。
2-3. 下ごしらえを引き受ける形は、入口として速く回ります
録音を文字にする、他の人が書いた文をそろえる、体裁を整える。
こうした手前の作業だけを引き受ける形です。
書く力を問われにくいので、最初の1件を受けるまでがとても早いでしょう。
値段は分量か時間で決まることが多く、大きくは伸びません。
ただし、締め切りを守れる人だという記録は、ここでも作れます。
次の仕事を頼むかどうかを決めているのは、この記録です。
お金を稼ぐためというより、やり取りの流れを体で覚えるために使うと、この型は効いてきます。
受け渡しの形、直しの伝わり方、支払いまでの日数。
これらを一度通しておくと、次から慌てずに済みます。
同じ相手に何度か納めていると、書くほうも手伝ってほしいと言われることがあります。
その申し出は、いちばん通りやすい入口です。
すでに仕事ぶりを見てもらっているので、応募のときのような壁がありません。
そのため、この型を選ぶなら単発で数をこなす相手より、続けて仕事のある相手を探してください。
同じ場所に留まるほど、次の話が来やすくなります。
安い作業を渡り歩くと、この積み上がりが起きません。
2-4. 企画からまとめる形まで行くと、値段の決め方が変わります
何を出すかを決め、書く人を集め、出来上がりを見て直す。
ここまで引き受ける形です。
自分が書く時間は減るのに、受け取る額は増えるという逆転が起きます。
理由は、相手が手放せる手間の量が大きいからです。
1本ぶんの原稿ではなく、その分野を任せられる状態を渡しています。
月ぎめで契約する形になることも多く、収入の波が小さくなるでしょう。
実績が要るので、今日から入れる型ではありません。
それでも、最初にここを見ておく意味はあります。
目指す先が見えていれば、いま受ける1件の選び方が変わるからです。
たとえば、同じ金額の2件で迷ったとき、題の決め方に関われるほうを選ぶ、という判断ができます。
目の前の金額だけで選ぶと、いつまでも書くところだけが残るでしょう。
この型へは、書く仕事を受けながら少しずつ範囲を広げていく形で移ることになります。
ある日いきなり任される、という進み方はまずありません。
いま受けている1件の中で、決める側に半歩入ってみてください。
3. 未経験から在宅ライターの副業に入るときの順番
未経験から在宅ライターの副業に入るときは、順番を守るかどうかで進み方が変わります。
3-1. 分野を1つに絞ると、選ばれる理由がはっきりします
最初にやることは、書ける題を広げることではありません。
むしろ逆で、引き受ける分野を1つに絞ります。
なんでも書けますという名乗りは、頼む側から見ると選ぶ手がかりになりません。
絞るときの手がかりは、これまでの仕事と暮らしの中にあります。
働いていた業界、使っていた道具、続けている習いごと、子どもの学校まわりで調べ尽くしたこと。
その分野の言葉が体に入っている、というのが強みの正体です。
同じ1本を書くにも、分野を知っている人は調べる時間が短くて済みます。
読む側が引っかかる点も、あらかじめ見当がつくでしょう。
この差は、書く力の差よりずっと大きく出ますよ。
絞ったあとで別の分野に移ることもできます。
一度どこかで通用した進め方は、次の分野でもそのまま使えるからです。
最初から広く構えるより、1つで通してから広げるほうが早く着きます。



絞っちゃうと、仕事の数が減らない?



応募できる件数は減ります。
ただ、通る割合が上がるので、受注できる本数はむしろ増えることが多いですよ。
3-2. 見本は3本あれば足ります。何を見せるかで決まります
応募のときに見せるものが無い、というのが次の壁です。
仕事として書いたものが1本も無いなら、自分で用意して構いません。
頼む側が見たいのは実績の数ではなく、任せたらどう仕上がるかです。
そろえるのは3本で足ります。
絞った分野の中で、読む相手の違う3本にすると、扱える幅が伝わるでしょう。
たとえば、これから始める人に向けた1本、選び方で迷っている人に向けた1本、すでに使っている人に向けた1本という分け方です。
見た目を整えることに時間をかけすぎないでください。
見出しの付け方、話の運び、指定への合わせ方。
見られているのはそこなので、飾りは後回しで構いません。
見本には、誰に向けて何のために書いたのかを一言添えておきましょう。
同じ文でも、狙いが分かると読み方が変わります。
狙いを言葉にできる人は、指定の外れた依頼が来たときも任せやすいと見られます。
3本そろえたら、そこで手を止めて応募に移りましょう。
見本を増やし続けるのは、応募を先延ばしにする言い訳になりがちです。
実際の依頼を1件受けたほうが、見本を5本増やすより多くのことが分かります。
4. 報酬の数え方で、在宅ライターの副業の見え方は変わる


在宅ライターの副業で受け取る額は、募集に書かれた単価だけでは決まりません。
手取りの時給まで数えると、見え方がはっきり変わります。
4-1. 文字単価だけを見ると、手取りの時給を読み違えます
募集には、1文字あたりいくら、あるいは1本あたりいくらと書いてあります。
この数字だけを見て引き受けるかを決めると、ほぼ確実に見誤るでしょう。
実際に手元へ残る時給は、次の割り算で決まるからです。
手取りの時給は、受け取る額を、書いた時間と直しにかかった時間とやり取りにかかった時間の合計で割ったものです。
書いた時間だけで割ると、いつも実際より高く出ます。
初めのうちほど、後ろの2つは長くなりがちです。
たとえば同じ金額の仕事でも、指定がはっきりしていて一度で通る相手と、何度も差し戻してくる相手とでは、残る時給がまるで違ってきます。
単価が高い募集ほどやり取りが丁寧で、通るまでが速い、ということも珍しくありません。
安い仕事のほうが手間がかかる、という逆転はよく起きます。
だから、募集を見比べるときは単価の欄だけを並べないでください。
指定がどこまで書いてあるか、直しの回数に線が引いてあるか。
そこが書いてある募集は、通るまでが短くなりやすいです。
4-2. 直しの回数を減らす手当ては、書き始める前にあります
時給を削っている犯人は、たいてい直しです。
そして直しが増える原因は、書く力の不足だけではありません。
多いのは、始める前の確かめ不足でしょう。
受ける前に文字で残しておきたいのは、次のところです。
- 誰に向けて書くのか、読んだあとどうなってほしいのか
- 見出しの数と、全体の分量の目安
- 参考にしてよい資料と、使ってはいけない資料
- 直しは何回まで、いつまでに返すのか
- 渡す形式と、渡したあと誰が手を入れるのか
ここを確かめておけば起きなかった直しが、確かめていないという理由だけで起こります。
そして直しに追加のお金は付きません。
確かめる手間を惜しむことが、そのまま時給を削る行為になっています。
聞くと面倒がられるのではと心配になるかもしれません。
実際は逆で、先に確かめてくる相手のほうが安心だと受け取られます。
戻ってくる回数が減るのは、頼んだ側にとっても得だからです。
確かめた中身は、口頭ではなく文字で残しておいてください。
言った言わないになると、直しの回数に線を引けなくなります。
短い箇条書きで送り、返事をもらっておくだけで十分です。
4-3. 支払いまでの日数には、法律で上限が決まっています
受け取る時期も、手取りを考えるうえで外せません。
納めたのにいつ振り込まれるか分からない、という状態は避けられます。
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律に、決まりが置かれているからです。
この法律の3条1項は、業務委託をした側に対して、引き受ける中身と報酬の額と支払期日などを、書面か電磁的方法で直ちに示すよう求めています。
口約束のまま進めなくてよい、ということです。
中身が決まらないことに正当な理由がある事項だけは、その場で示さなくても構いません。
その場合も、決まった後に直ちに示すことが要ります(同項ただし書)。
支払期日については4条1項が、納めたものを受け取った日から数えて60日以内、かつできる限り短い期間内に定めなければならないとしています。
期日を定めなかったときは、受け取った日が支払期日とみなされます(同条2項)。
ここで一度、頼んできた相手を確かめてください。
この4条が掛かるのは特定業務委託事業者です(2条6項)。
会社なら役員が2人以上いるか従業員を使っていること、個人なら従業員を使っていることが、その線引きになります。
従業員を使っていない個人が相手のときは、この決まりの外になると考えてください。
条文は e-Gov で読めます(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)。



じゃあ、支払いは3か月後ですって言われたら、おかしいんだ?



役員が2人以上いる会社や、従業員を使っている会社や個人が相手なら、その条件は受け取った日から60日という線を超えている可能性があります。
ただし、別の会社から回ってきた仕事の再委託には、4条3項の別の線があります。
再委託だという事実と元委託者の名前、元委託の支払期日などを、受ける前に文字で示された場合に限った線です。
そのときは受け取った日ではなく、元委託の支払期日から30日以内になります。
示されていなければ、60日のほうで見てください。
従業員を使っていない個人が相手の場合は、60日の線が外れることもあります。
どちらにしても、引き受ける前にいつ払われるのかを文字で確かめておいてください。
5. 3つの入口から選ぶ、在宅ライターの仕事の見つけ方


在宅ライターの副業を始めるとき、仕事を見つける入口は大きく3つあります。
決まるまでの早さと、値段の決め方が入口ごとに違います。
| 入口 | 決まるまで | 値段の決め方 | 向いている時期 |
|---|---|---|---|
| まとめ役の会社を通す | 早い | 提示された額に応じる | 最初の数件 |
| 募集に応じる | ふつう | 条件を見て選ぶ | 分野が決まったころ |
| 直に受ける | 遅い | こちらから出す | 続けて頼まれ始めてから |
5-1. まとめ役の会社を通す形は、速い代わりに値段が下がりやすいです
仕事を集めて配っている会社を通す形です。
登録すればその日から応募でき、支払いも会社が間に入ります。
最初の1件を受けるまでの速さでは、この入口にかなうものはありません。
代わりに、同じ募集に多くの人が集まります。
選ぶ側は比べやすくなるので、値段は下へ引っぱられがちです。
手数料が引かれることも、受け取る額に効いてきます。
使い方は割り切ってしまいましょう。
ここで稼ぎ切ろうとせず、やり取りの流れを覚え、続けて頼まれる相手を1人見つける場として使います。
その1人が見つかった時点で、この入口の役目は半分終わります。
応募するときは、募集の文をそのまま繰り返さないでください。
絞った分野の話を1行入れるだけで、他の応募と見分けがつきます。
数を送るより、合う募集を選んで書き分けるほうが通りますよ。
この入口で気をつけたいのは、評価の数を集めること自体が目的になる状態です。
安い仕事をいくら積んでも、次の入口へは近づきません。
続けて頼んでくれる相手が1人できたかどうかで、進み具合を見てください。
5-2. 募集に応じる形では、雇う形と任せる形が混ざっています
求人を集めたページで探す形です。
検索して出てくる件数は多いのですが、中身は2種類が混ざっています。
雇われて働く形と、仕事ごとに任される形です。
この2つは、勤め先の規則や税の手続きの扱いが変わってきます。
雇われる形なら、勤め先が2つあるという扱いになるでしょう。
任される形なら、自分で申告する話になります。
募集の文面では、雇用か業務委託かという書き方で見分けられます。
書いていない募集もあるので、その場合は応募の前に聞いてください。
後から分かると、勤め先との話がややこしくなります。
時給いくらと書いてある募集は、雇われる形のことが多いです。
1本いくら、1件いくらと書いてあれば、任される形のことが多いでしょう。
どちらに当たるかを最後に決めるのは、契約の名前でも報酬の建て方でもなく、実際の働き方です。
迷ったら、支払いのときに何が引かれるのかを聞くとはっきりします。
求人を集めたページは件数が多い代わりに、同じ募集が何度も出ていることがあります。
掲載の日付と募集の中身を見比べて選んでください。



同じ一覧に並んでいても、引き受けたあとの手続きは別ものです。
ここは応募前に確かめておくと安心ですよ。
5-3. 直に受ける形へ移ると、値段の決め方がこちらへ来ます
会社や店から直接頼まれる形です。
間に入る人がいないので、手数料は引かれません。
そして、いくらで引き受けるかをこちらから出せます。
この形にたどり着く道は、募集ページの中にはあまりありません。
多いのは、いま受けている相手から続けて頼まれる、あるいはその相手が別の人を紹介してくれる、という流れでしょう。
つまり最初の数件の受け方が、そのまま次の入口を作ります。
値段を自分で出すのは、慣れないうちは怖いものです。
そのときは、時間で数え直してみてください。
この仕事に何時間かかるかを見積もり、残したい時給をかければ、出す金額の下の線が決まります。
下の線を持っておくと、断る判断も速くなります。
線を割る依頼を受けると、その時間で次の相手を探せなくなるからです。
断った枠に、条件の良い依頼が入ってくることは珍しくありません。
直に受けるようになると、請求と入金の管理も自分の仕事になります。
引き受けた日、納めた日、支払いの期日を1か所に並べておきましょう。
件数が増えてから作り始めると、たいてい追いつきません。
6. 単価が上がらない在宅ライターの副業に共通するつまずき
在宅ライターの副業を1年続けても単価が動かない人には、似たつまずき方があります。
6-1. 安い仕事を数でこなすと、抜け出す時間が無くなります
いちばん多いのが、この形です。
1本あたりが安いので、暮らしを支えるには本数を増やすしかありません。
そして本数を増やすと、次の手を打つ時間が消えます。
見本を作り直す、分野を絞り込む、新しい相手に応募する。
どれも、いま受けている仕事を止めないとできません。
止めると今月の収入が落ちるので、止められなくなります。
抜け出すには、受ける本数に上の線を引くしかないでしょう。
たとえば、週に受ける本数を決めて、空けた時間を次の準備に回します。
その月の収入は少し落ちますが、落ちた分は数か月で戻ってきますよ。
線を引くのが怖いときは、いちばん条件の悪い1件だけを外してみてください。
全部を止める必要はありません。
1件ぶんの時間があれば、見本の作り直しには足ります。
外す1件を選ぶときは、金額ではなく手間で見てください。
同じ金額でも、直しの多い相手のほうが時間を奪っています。
記録を取っていれば、どれを外すべきかはすぐ分かるでしょう。



うわ、今まさにその状態かも……



気づいた時点で抜けられます。
まず、受ける本数の上限を1つ決めるところからで大丈夫ですよ。
6-2. 言われたとおりに書くほど、代わりの利く人になります
指定を守るのは大事なことです。
ただ、守るだけで終わると、値段は上がりません。
指定どおりに書ける人は、ほかにもたくさんいるからです。
値段が動くのは、渡されたものに何かを足したときでしょう。
たとえば、指定の見出しでは読み手が迷いそうだと気づいて、理由を添えて別の並べ方を出す。
あるいは、調べている途中で見つけた新しい決まりを、資料の場所ごと伝える。
こうした一言が、次に頼む相手を決めています。
書いたものは比べられますが、こちらから出てきた気づきは比べようがありません。
文章を作る道具が増えても、この部分だけは他に置き換わりにくいです。
足すときは、指定を勝手に変えないでください。
指定どおりのものを納めたうえで、こうする手もありますと別に添えます。
この順番を守れば、出過ぎた提案だと受け取られることはまずありません。
足す中身は、大きな提案でなくて構いません。
読者がつまずきそうな一文を指摘する、古くなった数字の出どころを知らせる。
こうした小さな指摘のほうが、実際に使われるぶん喜ばれます。
7. 勤め先の規則と税金は在宅ライターを始める前に確かめる
在宅ライターの副業として始める前に、勤め先の規則と税の手続きを確かめておきます。
後から気づくと、せっかく受けた仕事を手放すことになりかねません。
7-1. 勤め先の決まりは、人づてではなく自分の目で読みます
まず見るのは、勤め先の就業規則です。
同じ会社の人から聞いた話ではなく、書かれた文を自分で読んでください。
禁じているのか、届け出れば認めるのか、書き方は会社ごとに違います。
届け出が要る場合、出す前に確かめておきたいのは、何を届けるのかというところです。
相手の名前まで要るのか、働く時間だけでよいのか。
ここが分かると、引き受ける仕事の選び方も変わります。
公務員のように、法律の側で制限が置かれている働き方もあります。
その場合は会社の規則の話ではなくなるので、始める前に所属先へ確かめるのが確実でしょう。
後戻りのしにくいところなので、ここは急がないでください。
規則に触れない範囲でも、勤め先と同じ分野の仕事は避けておくと安全です。
情報の扱いで揉めると、規則の話とは別に信用の問題になります。
分野を1つ選ぶときは、この点も一緒に見ておきましょう。
規則を読むときは、副業という言葉だけを探さないでください。
兼業、他の会社の業務、営利を目的とする事業といった言い方が使われています。
言葉が違うだけで、同じことを指している場合があります。
7-2. 20万円で申告が要らなくなるのは、限られた場合だけです
よく聞くのが、20万円までなら申告は要らないという話です。
これは条件付きの決まりで、誰にでも当てはまるわけではありません。
所得税法121条1項1号に書かれている内容を見てみます。
そこで示されているのは、給与の額が2000万円以下で、1か所から給与を受けて年末調整が済んでいる人について、給与と退職以外の所得の合計が20万円以下なら、確定所得申告書を出すことを要しない、という組み立てです。
条文は e-Gov で読めます(所得税法)。
気をつけたいのが、ここでいう20万円は受け取った額ではなく、かかった費用を引いたあとの額だという点です。
それと、この決まりは所得税の申告についてのものになります。
住んでいる市区町村への申告は別に決まっているので、そちらは自分の住む自治体の案内で確かめてください。



受け取った額じゃなくて、引いたあとなんだね



そうです。
だから、かかった費用を残しておくことが、そのまま手続きの支えになりますよ。
8. 最初の30日で、在宅ライターの副業を立ち上げる手順


最初の30日で、在宅ライターの副業をどう立ち上げるかを日ごとに置きます。
8-1. 10日目までに、分野を決めて見せるものをそろえます
最初の10日は、応募しない期間にしてください。
ここで急いで応募すると、見せるものが無いまま数だけ増えます。
やることは3つです。
- これまでの仕事と暮らしから、書ける分野を1つ選ぶ
- その分野で、読む相手の違う見本を3本そろえる
- 勤め先の規則を読み、必要なら届け出の準備をしておく
見本は、仕事として受けたものでなくて構いません。
自分で題を決めて書いたもので十分に伝わります。
この10日を飛ばすと、あとの20日がまるごと空回りしてしまいます。
並行して、応募のときに送る文を1つ作っておきましょう。
連絡がつく時間帯、締め切りの守り方、直しへの応じ方の3つを入れておきます。
毎回書き直さずに済むので、応募にかかる時間が短くなります。
道具をそろえるのは後回しで構いません。
いま使っているパソコンと、無料で使える文章の道具があれば足ります。
有料のものは、受注が続くようになってから足していきましょう。
先に道具をそろえると、使わないまま費用だけが出ていきます。
8-2. 30日目までに、応募と受け渡しをひと通り回します
11日目からは、応募を始めます。
数を打つより、絞った分野に合う募集だけを選んでください。
1件受かったら、そこからは受け渡しの流れを覚える期間に変わります。
受けたら、書き始める前に確かめることを文字にして送ります。
読む相手、分量、使ってよい資料、直しの回数、渡す形式、そして支払いの日。
この一手間が、直しの回数をいちばん大きく減らします。
納めたあとは、かかった時間を書き留めておいてください。
書いた時間、直した時間、やり取りの時間の3つに分けて残します。
次の仕事でいくらと言うべきかは、この記録から出てくるでしょう。
30日で受注まで届かないこともあります。
そのときは分野の選び直しではなく、応募の文と見本を見直してください。
分野をころころ変えると、積み上がるはずのものが毎回ゼロに戻ります。
30日が終わったら、応募した数と返事の来た数を数えてみてください。
返事が少ないなら応募の文、返事はあるのに決まらないなら見本に手を入れます。
どちらを直すかは、この2つの数字で分かれます。
9. まとめ
在宅ライターの副業で受け取る額を決めているのは、文章のうまさではありません。
相手の手間をどこまで引き取れたか、そして直しとやり取りをどれだけ短くできたかです。
入口として速い形から始めるのは正しい選び方ですが、そこに留まる前提で受けると、時給の上がる道が閉じてしまいます。
- 受ける仕事は4つの型に分かれ、引き取る範囲が広いほど代わりが利きにくくなる
- 手取りの時給は、書いた時間だけでなく直しとやり取りの時間まで足して割り出す
- 支払期日は、相手が役員2人以上の会社か従業員を使う会社・個人なら、受け取った日から60日以内が原則で、再委託である旨と元委託の支払期日を先に示された再委託に限り元委託の支払期日から30日以内になる
- 20万円で申告が要らなくなるのは条件付きで、しかも費用を引いたあとの額で見る
- 最初の10日は応募せず、分野を1つに絞って見本を3本そろえる
次にやることは1つだけです。
これまでの仕事と暮らしを思い出して、書ける分野を紙に1つ書いてみてください。



焦って本数を増やす前に、引き取る範囲を広げてください。
そちらのほうが、同じ時間で残る額はずっと大きくなりますよ。










