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CADトレースの副業は在宅で受けられる?渡されるデータの形で決まる仕事の選び方

記事「CADトレースの副業は在宅で受けられるのか」のアイキャッチ画像です。同じ単価でも終わる時間が違う理由を扱っています。

図面をなぞるだけの仕事なら家でもできそうだと思って、募集を探し始めますよね。
ところが何件読んでも、1枚にどれくらい時間がかかるのかが書いてありません。

先に置いておきます。
家で受けられるかどうかを決めているのは、図面の難しさではありません。
手元に何のファイルが届くか、です。

同じ1枚でも、届く形が違えば手数は何倍にも変わります。

この記事では、届くデータの4つの状態、返すときの拡張子、レイヤと線の決まり、受け渡しの方法、募集文の読み方、そして受け取ったデータの点検までを順に置きました。

テン

ねえオズ、なぞるだけの作業なら、うちのパソコンでもできそうなんだけど。

オズ

なぞるだけ、は合っています。
ただ、何をなぞるかが案件ごとに違います。

そこを聞かずに受けると、同じ金額で何倍も働く日が出てきますよ。

在宅副業を5つの型に分け、金額の壁ごとの作り替え方まで見たい方はこちらから。

目次

1. CADトレースの副業は在宅で受けられるのか

CADトレースの副業を在宅で受けられるかどうかは、図面の中身より先に、届くデータの形で決まります。
まずは募集文から何が読めて、何が読めないのかを見ていきましょう。

1-1. 募集文を読んでも、1枚にかかる時間は読めません

募集文に書いてあるのは、たいてい3つです。
1枚あたりの金額、枚数、そして納期。

この3つがそろっていれば、受けた場合にいくらになるかは計算できます。

ところが、作業にかかる時間はどこにも書いてありません。
「図面1枚いくら」と出ていても、その1枚が30分で終わるのか、半日かかるのかは分からないままでしょう。

募集文が教えてくれるのは、渡す側が決めた条件だけです。
こちらが背負う手間の量は、募集文の外に置かれたままになります。

その量を決めているのが、これから見ていく元データの形です。

発注する側に隠す気があるわけではないはずです。
自分の手元にあるデータが当たり前に感じられるので、わざわざ書く必要を感じていないだけでしょう。

紙の図面しか持っていない会社は、紙から起こすのが普通だと思っています。

だから、こちらから聞くしかありません。
聞かずに応募して、届いてから「これは重い」と気づく流れがいちばん多いつまずき方でした。

テン

募集文に書いてないことって、聞いてもいいものなの?

オズ

聞いてください。
渡すものが決まっていない状態で見積もりを出すほうが、お互いにとって危ないですから。

1-2. 同じ1枚でも、届くファイルで手数が何倍も変わります

同じ間取り図を1枚仕上げる仕事でも、中身は別物になります。
紙をスキャンした画像から線を起こすのか、すでにあるデータの一部を直すのか。

前者は、下敷きに敷いた画像の上を1本ずつなぞる作業です。
壁も窓も寸法線も、全部こちらで引きます。

後者なら、開いて直したい場所だけ触れば終わるでしょう。

テン

えっ、それって同じ金額なの?

オズ

募集文が同じなら、同じ金額です。
だから受ける前に、どちらなのかを確かめておきましょう。

ここを聞くかどうかで、1枚に使う時間が何倍も変わってきます。

金額が同じで手数だけが違うなら、選ぶ基準は金額ではありません。
届くデータの形のほうです。

在宅の副業を続けられるかどうかも、ここで分かれます。
重い案件ばかりを引き当てると、平日の夜が全部消えていきますから。

続かなくなる理由は、たいてい「思っていたより時間がかかった」でしょう。
腕前が足りなかったのではなく、受ける前に手数を測っていなかっただけ、という場合がほとんどです。

1-3. 最初に聞くのは単価ではなく「何をもらえますか」です

応募文に1行足すだけで、この確認は済みます。
「元の図面は、どの形式でお渡しいただけますか」

これだけで、案件の重さがかなり読めるようになります。

返ってくる答えは、だいたい3通りに割れるでしょう。
形式を即答できる相手、「紙をスキャンしたものです」と答える相手、そして答えられない相手です。

1つ目なら、渡す準備がすでにできています。
2つ目も悪くありません。
重いと分かったうえで受けられますから。

3つ目がいちばん危ないところです。
手元の材料を把握していない相手は、作業の途中で「やっぱりこの部分は別の図面から」と追加を出してきます。

その追加は、たいてい見積もりに入っていません。

聞き方は丁寧でも構いませんが、答えは具体的なものをもらってください。
「データでお渡しします」だけでは足りません。

紙をスキャンした画像なのか、CADで作ったファイルなのか。
そこまで分かれば、受ける前に時間の見当がつけられます。

答えにくそうなら、見本を1枚だけ見せてくださいと切り替えてみましょう。

2. 元データの形でCADトレースの手数は4つに分かれる

図面のもとになるデータを4つの状態に分けた図解です。紙と画像だけのPDF、文字が選べるPDF、形式の違うデータ、同じ形式のデータの順に手数が軽くなります。

在宅のCADトレースで届くデータは、だいたい4つの状態のどれかです。
手数が重い順に並べていきます。

2-1. 紙と画像だけのPDFは、線を1本ずつ引き直します

いちばん重いのが、紙の図面をスキャンしたものです。
見た目は図面ですが、中身は写真と同じ点の集まりでしかありません。

CADソフトは、そこに線があると認識できないままです。

紙そのものを渡される場合も、自分でスキャンすれば同じ状態になります。
つまり、紙と画像だけのPDFは同じ扱いで見てください。

やることは決まっています。
画像を下敷きとして読み込み、傾きを直し、尺度を合わせ、その上から線を引いていきましょう。

実際に時間を持っていかれるのは、なぞる作業そのものではありません。
かすれて切れた線、手書きの書き込み、コピーを重ねて潰れた文字。

読み取れない場所を1つずつ相手に確かめる往復が積み上がります。

この状態を、他の3つと同じ単価で受けると割に合いません。
枚数を絞るか、単価を分けてもらう相談を先にしましょう。

断る必要まではないでしょう。
読み取れない場所の質問は最初にまとめて出す、と決めておけば、往復の回数はかなり減らせます。

2-2. 文字や線を選べるPDFは、下敷きとして使えます

同じPDFでも、CADソフトから直接書き出したものは中身が違います。
線や文字の位置情報が残っているので、変換すれば線として取り込める場合があるからです。

見分け方は簡単でしょう。
PDFを開いて、図面の中の文字をマウスで選べるかどうか。

選べるなら中に情報が残っていて、選べないなら画像だけ、という判断ができます。

テン

それ、開いた瞬間に分かるってこと?

オズ

開いて文字を1回ドラッグすれば分かります。
受ける前に見本を1枚もらえるなら、そこだけ確かめてください。

文字が選べるかどうかで、その案件の重さがかなり見えてきます。

ただし、取り込んだあとの後始末は残ります。
線の種類やレイヤの分けは失われますし、文字が図形に化けることもあるでしょう。

それでも、1本ずつ引き直すよりはずっと軽い作業です。
取り込んでから整えるまでを含めても、紙から1本ずつ起こす場合よりは、はっきり短い時間で収まります。

見本をもらえないときは、この一言を添えてください。
「そのPDFは、CADから書き出したものでしょうか」

2-3. データがあっても、形式が違えば作り直しに近づきます

「データはあります」という返事だけで安心すると、後で困ります。
何のソフトで作ったかを続けて聞いてください。

Jw_cadで作った図面をAutoCADで開く、あるいはその逆。
変換自体はできますが、そのまま使える保証はありません。

寸法の値がずれる、文字の大きさが変わる、塗りつぶしやハッチが消える、といったことが起こります。

怖いのは、開いた直後の見た目では気づきにくい点でしょう。
全体を眺めると図面に見えるので、そのまま作業を進めてしまいます。

気づくのは納品したあとです。
相手の環境で開いた瞬間に「これ違いますよ」と返ってきます。

受ける前に「うちはjwwなので」と一言もらえていれば、こちらもJw_cadで開いて確かめられました。
順番が逆になるだけで、同じ作業が倍の時間に化けます。

テン

じゃあ、相手と同じソフトを買ったほうがいいってこと?

オズ

そこまでしなくても大丈夫です。
無償で使えるソフトもありますし、確認のためだけに開ける形にしておけば足ります。

買う前に、まず何の形が届くのかを聞いてみましょう。

2-4. 同じ形式のデータなら、直すところだけで終わります

いちばん軽いのが、同じ形式のデータをもらって修正する仕事です。
開いて、言われた場所を直して、返す。

手数だけで言えば、紙から起こす案件の何分の一かで済みます。

ただし、この型には別の落とし穴があります。
どこを直すのかが図面の上で示されていないと、文章のやり取りだけで場所を特定する羽目になるでしょう。

「北側の窓」と言われても、図面には窓がいくつも並んでいます。
そこを確かめる往復だけで、直す作業より時間がかかることさえあるでしょう。

先に頼んでおくと変わります。
「直す場所に印を付けたPDFを1枚いただけますか」

赤で囲ってもらうだけで、往復は目に見えて減ります。

  • 紙・画像だけのPDF … 線を1本ずつ引く。読めない場所の確認が積み上がる
  • 文字が選べるPDF … 下敷きとして使える。線種とレイヤの付け直しが残る
  • 形式の違うデータ … 変換でずれる。寸法・文字・塗りつぶしを点検する
  • 同じ形式のデータ … 直す場所だけ。印を付けたPDFをもらうと往復が減る

3. 納品する拡張子が合わないと在宅の作業は止まる

図面データの主な形を並べた図解です。dwg、dxf、jww、SXFの4つについて、主に使う場面と、返す前に確かめることを対応させています。

在宅の副業でいちばん止まりやすいのは、実は納品の直前です。
描き終わっているのに、返す形が合わずに一度戻る。
ここを先に決めておけば防げます。

3-1. dwgとdxfとjwwは、どれで返すかを先に決めます

図面のファイルには、よく使われる形がいくつかあります。
dwgはAutoCADがそのまま読み書きする形、jwwはJw_cadの形として使われています。
dxfは、違うソフトのあいだで受け渡すときに選ばれる形です。

拡張子を見れば、相手が何を使っているかの見当がつきます。
ここから読み取れることがもう1つあるでしょう。

「dxfでください」と指定してくる相手は、あなたと違うソフトを使っている見込みが高いということです。

つまり、こちらの画面で整って見えても、そのまま届くとは限りません。
受け渡し用の形を通す以上、線や文字が少し変わる前提で点検してください。

返す形が決まったら、その形で1枚だけ試しに書き出してみましょう。
自分でもう一度開いて、崩れていないかを見ておくと安心です。

決めるのは受注の前にしましょう。
描き終わってから「うちはjwwです」と言われると、変換して、ずれた場所を直して、もう一度点検する時間が丸ごと増えます。

テン

受ける前にそこまで決めるものなの?

オズ

決めておきましょう。
形式の指定は、単価の話より前に済ませておくと安全です。

あとから出てくると、作業が終わってから戻ることになります。

3-2. ソフトの版が古いと、送ったデータが開けません

形式が合っていても、まだ落ちる場所があります。
ソフトの版です。

新しいAutoCADで保存したdwgを、古い版のソフトで開こうとすると、そもそも開けないことがあります。
こちらの画面では何の問題もないので、相手から連絡が来るまで気づけません。

納品した翌日に「開けませんでした」と返ってくるのが、この型のいちばん多い形でしょう。
急ぎの案件だと、その1日が納期をまたいでしまいます。

新しい版で作ったものが古い版で開けない、という向きは覚えておいてください。
逆の向き、古い版のデータを新しいソフトで開くほうは、たいてい問題になりません。

保存するときに、どの版の形式で書き出すかを選べるようになっています。
だから、聞くべきことは1つに絞れるでしょう。

「お使いのソフトと、その版を教えてください」

テン

なるほど、送る前に聞いとけばいいんだね。

オズ

そうです。
1行で済む質問なので、最初のやり取りに入れてしまいましょう。

版まで聞いておくと、保存の設定を1回決めるだけで以降は迷いません。

3-3. 公共の工事にはSXFという決められた形があります

国が直轄で発注する工事や業務では、返す形が決められています。
国土交通省の「CAD製図基準」がそれで、令和7年12月版は「本基準で対象とするCADデータのフォーマットは、SXF(P21)形式とする」と定めています。

圧縮して納める場合の決まりもあるようです。
ZIP方式で圧縮し、拡張子は「P2Z」とする、と書かれています。

この令和7年12月版が適用されるのは、令和8年4月1日以降に契約を締結する工事・業務からでした。

どこまでが対象なのかも書かれています。
対象の工種は、国土交通省直轄事業で取り扱う34工種とされています。

それ以外の仕事がどうなるかは、この基準には書かれていません。
募集元に確かめてください。

民間の図面しか扱わないなら、ここは読み飛ばしても困りません。
ただ、募集文に「電子納品」という言葉が出てきたら、この基準の話だと思ってください。

出典は国土交通省の要領・基準のページです(電子納品に関する要領・基準|国土交通省)。

図面データの主な形と、返す前に確かめること
形主に使う場面返す前に確かめること
dwgAutoCADで作った図面をそのまま渡す相手のソフトの版で開けるか
dxf違うソフトのあいだで受け渡す線や文字が抜けていないか
jwwJw_cadで作った図面をそのまま渡す相手がJw_cadを持っているか
SXF(P21)国の直轄の工事・業務で納める基準どおりのレイヤ名と線か

4. レイヤと線の決まりは在宅でも省けません

レイヤ名の組み立てを分解した図解です。責任主体1文字、図面オブジェクト3文字、自由に付ける名前の順に、ハイフンでつなぎます。

在宅のCADトレースが差し戻されるとき、原因は線そのものより手前にあることが多いものです。
レイヤの名前と、線の太さの決まり。
図面としては正しく見えるのに返ってくる、いちばん多い型がこれでしょう。

4-1. レイヤ名は好みではなく、決められた並びで付けます

自分だけで使う図面なら、レイヤの名前は何でも構いません。
ところが人に渡す図面では、名前そのものが決まりごとになります。

国土交通省のCAD製図基準では、名前の組み立て方まで定められています。
先頭に責任主体を1文字、次に図面オブジェクトを3文字、最後に自由に付けられる名前。

ハイフンでつないで「D-STR-A1橋台」のような形になります。

先頭の1文字は、その図面に責任を持つ場面を表しています。
Sが測量、Dが設計、Cが施工、Mが維持管理です。
続く3文字は中身の分けで、図枠はTTL、基準はBMK、文章はDOC、といった具合に割り当てられています。

名前の長さにも上限があり、全体で半角256文字以内と決められています。
自由に付けられるのは最後の部分だけ、と読んでおけば間違いません。

民間の仕事でも、会社ごとに似た決まりを持っているところは珍しくないでしょう。
受ける前に一覧をもらってください。

一覧が無いと言われたら、既存の図面を1枚もらって中身をのぞくのが早道です。

4-2. 線の太さと線種には、選べる幅が決まっています

線の太さも、感覚で決めるものではありません。
同じ基準では、太さを細線・太線・極太線の3種類に分けたうえで、0.13、0.18、0.25、0.35、0.5、0.7、1、1.4、2ミリの中から選ぶのを原則としています。

用紙の大きさごとに標準の数値も決まっているようです。
A3の図面なら、細線が0.13ミリ、太線が0.25ミリ、極太線が0.5ミリ。

寸法線と引出線は0.13ミリ、図面の外枠は0.7ミリでした。

線の種類のほうは、JIS Z 8312:1999で定義された15種類を使うのが原則とされています。
実線、破線、一点鎖線、二点鎖線といった見慣れたものが、この15種類の中に並んでいます。

テン

見た目が合ってても、数字が違ったら戻されちゃうの?

オズ

戻されます。
受け取った側は数値で点検しますから、目で見て同じでは通りません。

だから、描き始める前に設定を合わせておくほうが早いですよ。

最初の1枚を描く前に、太さと線種の設定を作っておきましょう。
一度作れば次の案件から使い回せます。

4-3. 色は16色を基本にする、という決まりがあります

色にも決まりがあります。
基準では、黒、赤、緑、青、黄、マジェンタ、シアン、白、牡丹、茶、橙、薄緑、明青、青紫、明灰、暗灰の16色を基本とする、と書かれています。

色は見た目の問題だと思われがちですが、そうとは限りません。
現場によっては、印刷したときの線の太さを色で管理しています。

赤い線は細く、青い線は太く、というふうに色と太さを紐づける運用もあるようです。

この仕組みの中で色を勝手に変えると、画面では同じでも、印刷した紙では太さが変わってしまいます。
受け取った担当者が紙に出した瞬間に気づく、という順番でしょう。

そろえるのは難しくありません。
会社ごとの設定ファイルをもらって読み込むだけで済む場合がほとんどです。

「印刷の設定ファイルはございますか」と聞いておいてください。

テン

色まで決まってるなんて思わなかった。

オズ

見た目の好みではなく、印刷のための決まりごとですからね。
ここを知らずに色を変えて戻される人は、けっこう多いです。

5. データの受け渡し方で在宅にできるかが決まる

在宅の副業として成立するかどうかは、図面を家までどう届けてもらえるかでも決まります。
腕前とは関係のないところで受けられない案件が、実際にあります。

5-1. 容量が大きいデータは、渡し方を先に決めます

図面のデータそのものは、たいてい軽いものです。
重くなるのは、スキャンした画像を抱えている場合でしょう。

A1サイズの図面を細かく取り込むと、1枚でも扱いに困る大きさになることがあります。

枚数がまとまると、その重さがそのまま積み上がります。
20枚まとめて送ってもらう約束をしていると、受け取る側も送る側も一度は詰まるはずです。

ここで問題になるのは、送る側の事情です。
メールに添付できる大きさには上限がありますし、会社によっては外部のファイル送信サービスの利用が禁じられています。

指定のやり方があるなら、それに合わせるだけで済みます。
困るのは、送る手立てが決まっていない相手のときでしょう。

「どうやってお送りいただけますか」を最初の1往復で聞いておきましょう。

テン

送れないって、そんなことある?

オズ

あります。
会社の決まりで外のサービスが使えない、というのがいちばん多いですね。

その場合は指定の入れ物を教えてもらえるので、先に聞いておきましょう。

受け取れないという一点だけで、家では受けられない案件になります。
腕前の話が始まる前に決まってしまう部分でしょう。

自宅の回線が細い場合も同じ話になりますから、先に一度試しておきましょう。

5-2. 紙の現物しかない案件は、家に持ち込めません

原本の紙しか存在しない図面もあります。
この場合、こちらが取りに行くか、送ってもらうかの二択になるでしょう。

大きな図面はコンビニの複合機に載りきらないこともあるでしょう。
A1やA0の図面を取り込むには、それなりの機械が要ります。

取り込みの費用と時間は、こちらが持ち出しになりがちな部分です。

さらに、外へ出せない図面というものがあります。
取り扱いの取り決めで社外への持ち出しが禁じられていると、その場所で作業する以外に道がありません。

募集文に「在宅可」と書かれていても、案件ごとに例外が出ます。

私物のパソコンに条件が付くこともあるでしょう。
ウイルス対策のソフトを入れている証明を求められる、作業が終わったらデータを消して報告する、といった形です。

受ける前に、この確認だけは飛ばさないでください。

条件そのものは珍しくないので、飲めるなら受けて構いません。

飲めないなら、その案件だけ見送れば済む話でしょう。
在宅で受けられる案件は、これ1件ではありません。

6. 募集文からCADトレースの中身を読み取る順番

ここまでの見方が入ると、募集文の読み方が変わります。
CADトレースの副業を在宅で回すために、応募する前に確かめる順番を並べておきましょう。

6-1. 「図面が読める方」だけの募集で確かめること

募集文が短く、条件が「図面が読める方」しか書かれていないことがあります。
経験者向けの絞り込みに見えますが、そうとも限りません。

発注する側も作業量を把握していない合図であることが多いものです。
自分で線を引いた経験がなければ、1枚に何時間かかるのかは分からなくて当然でしょう。

こういう募集では、見本を1枚見せてもらうのがいちばん早い進め方です。
「作業の重さを確かめたいので、似た図面を1枚だけ拝見できますか」と書けば済みます。

取り扱いの都合で見せられないと言われることもあります。
そのときは、数字を渡してもらってください。

用紙の大きさ、1枚あたりの部屋数や部品の数、元が紙かデータか。
この3つが分かれば、おおよその時間は組み立てられます。

答えが返ってこない募集は、無理に追いかけなくて構いません。
在宅の副業で怖いのは、断ることより、重さの分からない案件を抱えたまま平日の夜を潰すことのほうでしょう。
断った分の時間で、答えの返ってくる募集を探せます。

6-2. 単価の話に入る前に、元データの形をそろえます

ここでそろえるのは、値段ではなく渡されるものの側です。

そろえるのは、この3つです。
元データが何の形か、返す形と相手のソフトの版、そしてレイヤと線の決まりの一覧があるかどうか。

ここが固まってから金額の話に入ると、根拠を持って提示できます。

たとえば、元データが紙で、返す形がdxfで、決まりの一覧が無い案件。
この組み合わせなら、線を1本ずつ引いたうえで、変換のずれを自分で点検し、レイヤ名も自分で決めることになります。

同じ枚数でも、同じ形式のデータを直すだけの案件とは別の仕事です。

同じ相手から2件目、3件目と続くときも、この順番は変えないでください。
前回と同じ形で届くとは限らないからです。

1件目が修正だけの案件で、2件目が紙からの起こしだった、というのはよくあります。

前回と同じつもりで見積もると、そこで一気に赤字へ傾きます。

テン

毎回聞くの、しつこくないかな。

オズ

同じ相手でも案件ごとに材料は変わりますからね。
1行の確認で、その回の重さがそろいます。

6-3. 見積もりの前に聞いておく3つの質問

実際に送る文面まで落とすと、次の3つになります。
どれも1行で書けて、答えが返ってくれば案件の重さが読めるものです。

  • 元の図面はどの形式でお渡しいただけますか(紙・PDF・CADデータのいずれか)
  • 納品はどの形式で、お使いのソフトとその版は何になりますか
  • レイヤ名や線の決まりの一覧はございますか
聞いたことと、返ってきた答えから読み取れること
聞くこと返ってきた答え読み取れること
元図面の形紙かスキャンしたPDF線を1本ずつ引く。時間はいちばんかかる
元図面の形CADから書き出したPDF下敷きに使える。整え直しが残る
納品の形と版具体的な形と版が出てくる変換の点検を1回で終えられる
決まりの一覧一覧が出てくるレイヤ名と線の設定を先に作れる

3つとも即答が返ってきたら、その相手は渡す準備ができています。
作業に入ってからの追加も出にくいでしょう。

逆に、3つとも曖昧なまま進もうとする相手は要注意です。
受けたあとで前提が動くので、見積もりが意味を持ちません。

3つ目の一覧については、無いという返事も立派な答えです。
決まりが無いなら、こちらの付け方で進めていいという話になりますから。

困るのは、決まりがあるのに渡されない場合のほうでしょう。

テン

聞きすぎて、面倒くさい人だと思われない?

オズ

逆です。
この3つを聞いてくる相手を、発注する側は分かっている人だと受け取ります。

実績の代わりになる質問なので、未経験のうちほど効いてきますよ。

7. もらったデータを点検してから在宅の作業に入る

受け取ったデータで先に見る4点を並べた図解です。尺度、原点の位置、文字化け、欠けた線の順に見て、線を引く前に相手へ返します。

在宅のCADトレースで手戻りを減らすのは、描く速さではありません。
データが届いてから、線を1本も引かないうちにやる点検です。

7-1. 開いて最初に見るのは、尺度と原点の位置です

データを開いたら、描き始める前に2つだけ確かめてください。
尺度と、原点の位置です。

尺度が合っていないと、画面の上で寸法を測っても数字が合いません。
気づかずに進めると、描いた線は全部それらしく見えるのに、数値だけが全部ずれている図面ができあがります。

国土交通省の基準でも、尺度はJIS Z 8314:1998に準ずると定められています。

原点は、あとで図面同士を重ねるときに効いてくる部分でしょう。
1枚だけなら困りませんが、同じ現場の図面を何枚も受けると、ずれが一気に表に出ます。

この2つに加えて、用紙の大きさも見ておくと安心でしょう。
A1で描くのかA3で描くのかによって、線の太さも文字の大きさも変わってきます。

図枠が入っていない場合は、どの大きさで作るのかを聞いておきましょう。

ここまでの確認にかかるのは数分でしょう。
描き始めてから直すと、全体を一度作り直す形になります。

テン

最初に見るだけで、そんなに違うんだ。

オズ

違います。
尺度と原点は、あとから直すと全部の線が動きますからね。

7-2. 化けた文字と欠けた線と消えた塗りは先に返す

変換を通したデータには、必ず点検する場所が3つあります。

  • 文字が別の記号に化けていないか
  • 線が途中で切れていないか
  • 塗りつぶしやハッチが消えていないか

これを描き終わってから見つけると、直す場所が全体に散ります。
元が化けているのか自分が消したのかも分からなくなり、結局もう一度なぞることになりかねません。

開いた直後に画面を撮って送るのがいちばん確実な進め方です。
「こちらではこの部分がこう見えています。元のデータもこの状態でしょうか」

この1往復で、相手が持っている元データの状態まで分かります。

相手の画面では正しく見えている、という返事が来ることもあるでしょう。
その場合は変換の途中で落ちているので、別の形で送り直してもらいましょう。

元のファイルをそのまま送ってもらえれば済むことも珍しくありません。

点検そのものは、開いて見て回るだけで終わります。
ここで見つけたぶんは相手が直す側に回るので、こちらの作業は増えません。

受け取った日のうちに済ませておくと、返事を待つ時間も納期の中に収まります。

8. まとめ

ここまでの話を、今日から使える形にまとめます。
CADトレースの副業を在宅で回せるかどうかは、線を引く腕前の前に、渡されるデータと返すデータの形で決まります。

  • 届くデータは4つの状態に分かれる。紙・画像PDFがいちばん重く、同じ形式のデータがいちばん軽い
  • 文字がマウスで選べるPDFかどうかを開いた場で確かめる。ここで案件の重さがかなり読める
  • 返す形と相手のソフトの版は、受注の前に決める。あとから出ると作業が丸ごと戻る
  • 国の直轄事業はSXF(P21)形式。レイヤ名・線の太さ・色まで決められている
  • 応募文で聞くのは3つ。元データの形、返す形と版、レイヤと線の決まりの一覧

今日やることは1つで足ります。
気になっている募集を1件だけ開いて、元の図面が何の形で届くのかが書いてあるかを見てみてください。
書いていないなら、その1行を聞くところから始まります。

テン

さっそく1件だけ開いて、形式が書いてあるか見てみる!

オズ

その順番でいきましょう。
書いていない募集がほとんどのはずです。

聞ける人がまだ少ないので、聞くだけで前に出られますよ。

記事「CADトレースの副業は在宅で受けられるのか」のアイキャッチ画像です。同じ単価でも終わる時間が違う理由を扱っています。

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