「CADの副業を土日のみ、それも在宅で」と考えて検索すると、求人サイトの一覧と、CADの仕事を紹介する記事が並びますよね。
ただ、並んでいるのは仕事の名前と単価の目安ばかりです。
動けるのが土日と夜だけなら、その時間の形で受けられる案件が決まってしまいます。
先に答えを置いておきましょう。
副業として在宅でCADをやれるかどうかは、図面が描けるかより先に、納期と、修正のやり取りに何日かかるかで決まります。
土日だけでも回る案件はあります。ただしそれは「土日でもいい」と書かれた案件ではなく、平日の日中に返事を求められない案件です。
読み終わるころには、今週末に応募していい案件かを自分で判定できるようになります。
テンねえオズ、CADが使える人って、土日だけ在宅で副業にできたりしないの?



できないことはありません。
ただ「土日に作業できるか」ではなく「平日に連絡を求められないか」で選ばないと、受けたあとで詰みます。
在宅副業を5つの型に分け、金額の壁ごとの作り替え方まで見たい方はこちらから。


1. 土日だけで回るCADの仕事と、回らない仕事
CADの仕事を副業として在宅で受けられるかどうかを分けるのは、描く速さよりも、自分がどんな形の時間を出せるかのほうです。
同じ月16時間でも、土日にまとめて4時間ずつ出せる人と、平日の夜に1時間ずつ出せる人では、受けられる案件が違ってきます。
まずここを分けて考えます。
1-1. 土日だけで受けられる仕事と受けられない仕事があります
週末だけの稼働で成立するのは、作業のまとまりを自分の側で区切れる仕事です。
手描きの図面をデータに起こす、紙のPDFをCADのデータに変換する、支給された図面に寸法を入れ直す。
こうした仕事は、渡された時点で必要な材料がそろっています。
土曜の朝に受け取って日曜の夜に返す、という進め方ができます。
逆に週末だけでは受けにくいのが、途中で相手に確認しないと先へ進めない仕事です。
「この納まりはどちらに寄せますか」「この寸法は現場の実測と違いますが、どちらを正としますか」。
この一往復が土曜に発生すると、相手が会社なら返事は月曜になります。
週末しか動けない人にとって、月曜の返事は「次の土曜まで進まない」と同じ意味です。



あー、質問した時点で1週間飛ぶってことか。
じゃあ質問しなきゃいいんじゃないの?



それが一番まずい進め方です。
確認せずに自分の判断で描くと、全部描き終わってから「そこは違う」と言われます。
質問を減らすのではなく、質問が出ない仕事を選ぶ。順番はそちらです。
1-2. 図面は途中で止めると、戻すのに時間がかかります
文章を書く仕事なら、途中で止めても読み返せば続きから書けます。
図面はそうはいきません。
作業中は、頭の中に「どの通り芯を基準にしているか」「どこまで確認済みか」「どの部分が仮置きか」を並べたまま手を動かしています。
1週間空けると、この並びが消えます。
再開したときにまず何をするかというと、自分が先週描いたものを点検する作業です。
これは納品物を1ミリも増やしません。
細切れの時間で受けるほど、この点検の時間が総作業時間に上乗せされていきます。
だから週末だけで進めるなら、1回の週末で閉じられる大きさに切って受けるのが安全です。
2つの週末にまたがる案件を受けるときは、最初の週末の終わりに「どこまで済んで、次に何をするか」を自分あてに書き残しておきます。
翌週の立ち上がりを変えるのは、この紙1枚のメモです。
書くのは3行で足ります。
どこまで描いたか、次に何をするか、まだ確認できていないことは何か。
この3行があると、翌週の再開で点検にかかる時間を短くできます。
1-3. 月に使える週末の回数を先に数えます
案件を探す前に、自分が出せる時間を数字にしておきます。
書き出すのは3つです。
- 今月あと何回の土日が空いているか(本業の繁忙期と家族の予定を引いたあとの回数)
- 1回の週末に作業へ出せる時間(土曜と日曜、それぞれ何時間か)
- 連絡に返せる時間帯(平日の昼に返せるのか、夜だけなのか)
この記事では、月に4回の週末があって1回あたり4時間、合わせて月16時間動ける人を例にして計算していきます。
金額の話が出てきたら、自分の数字に置き換えて読んでみてください。
1つ目を「日数」ではなく「週末の回数」で数えるのが要点です。
月16時間と言われてもつかみどころがありませんが、週末が4回と分かれば、1回の週末で閉じられる仕事を4件受ける、という形が見えてきます。
2つ目は抜けやすいところです。作業時間は出せても、連絡に返せるのが夜9時以降しかない、という人はめずらしくありません。
この条件は、応募する前に相手へ伝えておくとトラブルになりません。
先に伝えておけば、それで問題ない相手だけが残ってくれるはずです。
ここまでで時間の形が決まりました。次は仕事のほうを、その形に合うかどうかで分けていきます。
2. 中断できるかどうかで、案件は3つに分かれます
在宅で受けられるCADの仕事を、副業として選ぶときに使える分け方があります。
作業を途中で止めたときに何が起きるか、で3つに分ける方法です。
仕事の名前で分類しても、土日だけで回るかどうかは判定できません。止めたときの損の大きさで分けると、そのまま応募の判断に使えます。
CADに限らず在宅の副業を中断のしやすさで選ぶ考え方は、在宅副業を5つの型に分けた記事の3-2にまとめてあります。


| 止めたときに起きること | 仕事の例 | 週末だけの稼働との相性 |
|---|---|---|
| 止めても戻れる | 手描き図面のデータ化、PDFからの変換、寸法の入れ直し | 合う。1回の週末で閉じやすい |
| 止めると考え直しになる | 納まりの検討、部材の割り付け、支給図の不整合の修正 | 条件つき。相手が夜に返事をくれるかによる |
| 止めること自体が遅れになる | 現場が動いている案件、他の業者の作業を止めている図面 | 合わない。平日の日中に動ける人向け |
この表の右端が、そのまま応募していいかどうかの判定になるわけです。
順に見ていきます。
2-1. 手を止めても戻れる作業から入ります
最初に受けるならここです。
手描きの図面をデータに起こす作業、紙で配られたPDFをCADのデータに変換する作業、支給された図面に寸法や部屋名を入れ直す作業。
共通しているのは、答えが手元の資料の中にあることです。
相手に聞かないと決まらないことが、ほとんど発生しません。
だから土曜の朝に始めて日曜の夜に返す、という進め方が成立します。
図面の仕事でここが効いてくるのは、判断の基準が資料の中に書いてあるからです。
通り芯の番号、階高、縮尺、レイヤの分け方の指示。
どれも渡された資料に載っているので、1週間空けても読み直せば同じ判断に戻れます。
単価は高くありません。そのかわり、受注から納品までを自分の都合だけで閉じられます。
最初の数件で「自分は1枚に何時間かかるのか」を測る用途としても、この型が向いています。
測るときは、ファイルを開いてから保存して閉じるまでの通しの時間で見てください。
休憩を抜いた正味の時間で数えると、次に見積もるときに必ず足りなくなります。
2-2. 手を止めると考え直しになる作業は条件つきです
次の型は、描く前に決めごとが要る仕事です。
渡された図面どうしで寸法が合っていない、部材の割り付けが指示だけでは決まらない、既存の建物の実測値と図面がずれている。
こうした案件では、必ず相手に確認する場面が出ます。
ここで効いてくるのが、相手が何曜日の何時に返事をくれるかです。
個人で設計をしている相手なら、土曜の夜に投げた質問に日曜の朝で返ってくることがあります。
会社が発注元だと、土曜に投げた質問の返事は月曜の午前です。
同じ仕事でも、相手が誰かで週末稼働との相性がひっくり返ります。
返事の速さは、契約前のやり取りでだいたい分かります。こちらの質問に何時間で返ってきたか。それが受注後の速さです。



相手が会社か個人かなんて、募集ページに書いてあるものなの…?



書いていない募集もあります。
なので応募の文面で聞いてしまいます。「ご質問への回答は何営業日をみておけばよいですか」と1行入れるだけでいいですよ。
この質問に答えてくれない相手は、受けたあとも同じです。
2-3. 止めること自体が遅れになる案件は最初は外します
3つ目は、自分の作業が誰かの作業を止めている案件です。
現場が動いていて、その図面が出ないと職人が入れない。
あるいは、他の担当が自分の図面を待って次の作業に入る。
この型は単価も上がりますし、続けば固定の取引先になります。ただ、平日の日中に電話が鳴る前提の仕事です。
本業が別にある状態で最初に受ける相手ではありません。
受けるとしても、時間の使い方が変わってからにします。
時間の使い方が変わる、というのは具体的には2つです。
平日の昼に15分だけでも席を外して電話に出られること。もう1つは、急ぎの差し替えが来た日に、その日のうちに1時間を確保できること。
この2つが用意できないうちは、単価が高くても割に合いません。納期を落としたときに失うもののほうが大きくなります。
土日だけで実績を作り、そのあとで平日にも動ける形を用意してから手を伸ばす。
この順番なら、本業を崩さずに受けられる範囲を広げていけます。
3つの分け方が決まったら、次は募集の絞り方です。
3. 動けるのが週末だけなら、募集はこう絞る
在宅のCADの募集を副業として絞るとき、先に見るのは単価ではありません。
納期と、やり取りの頻度のほうです。
土日のみ動ける前提だと、この2つが合わない案件は受けた時点で遅れが決まります。単価はあとからでも交渉できますが、納期と連絡の条件は受けたあとで変えられません。
3-1. 納期までに週末が何回あるかを数えます
募集ページで確かめるのは、時間に関わる3つだけです。
募集を絞るときに読む行そのものは在宅副業の全体を扱った記事の2-3で整理しているので、ここでは3つとも週末の回数に置き換えて読みます。
単価を見るのはそのあとです。


- 納期がいつで、そこまでに土日が何回あるか
- 途中提出(中間確認)を求められているか
- 連絡の道具は何で、どれくらいの頻度で反応を求められるか
1つ目は、日数ではなく「土日の回数」に読み替えます。
納期が10日後と書いてあっても、その10日に土日が1回しか入っていないことがあります。
締切日をカレンダーに置いて、自分が動ける日を数えてみてください。
「10日ある」ではなく「作業できるのは2日」と分かった時点で、受けるかどうかの答えが変わります。
2つ目の途中提出は、見落とされやすいところです。
「50%の段階で一度見せてください」と書かれていると、その提出のあとに相手の確認待ちが挟まります。
土曜に提出して、返事が水曜に来て、続きが描けるのは次の土曜。
作業そのものは2日でも、案件が閉じるまでに2つの週末をまたぎます。
3つ目の連絡頻度が表れるのは、連絡に使う道具の指定です。
チャットで常時つながることを求める相手と、メールで1日1往復の相手では、生活への食い込み方がまったく違います。
3-2. 平日の日中に返事が要る募集は最初に外します
会社員をしながら受けるなら、これは最初に引く線です。
募集ページに「平日日中に連絡が取れる方」「即レス歓迎」と書かれていたら、そこで候補から外します。
書かれていなくても、次のような表現が出てきたら同じ扱いにします。
「急ぎの修正に対応できる方」は、いつ来るか分からない依頼が前提だという意味です。
「現場との調整をお願いします」なら、電話が鳴るのは平日の昼です。
「長期・継続でお願いできる方」だけが強調されていて稼働の下限が示されていない募集も、あとから条件が動きやすいので同じ扱いにしておきます。
外すのは、その仕事が悪いからではありません。
いまの時間の形と合わないだけです。
無理に受けて納期を落とすと、評価がひとつ残ります。
クラウドソーシングの評価は次の受注に効いてくるので、序盤で落とすと戻すのに時間がかかります。受けないという判断が、いちばん安い対処です。



でもさ、条件で外していったら応募できる案件がほとんど残らなくない?



残りません。それでいいんです。
週に1件受けられれば月4件です。探すのは「たくさんの候補」ではなく「自分の週末に収まる1件」でいいんですよ。
候補が2つに減ったなら、絞り込みが効いた証拠です。
3-3. 募集を13件読んで分かった時間の条件
実際の募集を見ていくと、この線引きがはっきり出ます。
2026年8月9日に、在宅と書かれた図面の求人・案件を手作業で13件あたってみました。
内訳は求人が5件、クラウドソーシングの募集が5件、出品側の掲載が3件です。
そこで見えたのは、「完全在宅」と「働く時間が自由」は別の話だということでした。
求人5件のうち、時給で雇われる形は2件でした。
1件は完全在宅で、勤務時間は9時から17時30分。
もう1件は在宅と出社を組み合わせる形で10時から18時、こちらは「土日どちらかを含む週2日から」と書かれていました。
つまり雇われる形でも、週末に寄せられる募集はあります。ただし時間帯は先方が決めています。
残る3件のうち2件は業務委託でした。
1件は作図1枚いくらの単価制で業務時間は自由、もう1件は時間単価で、週20時間から30時間程度の稼働を想定し、応募資格に週10時間以上と書かれていました。
最後の1件は時間単価の在宅ですが、週に1回か2回の出社が要る形です。
13件を1日で見ただけなので、これが全体の傾向だとは言えません。募集は入れ替わりますし、読めなかったものもあります。
それでも、「在宅」の2文字だけを見て応募すると外す、ということは言えます。
見るのは在宅の2文字ではなく、勤務時間の欄と応募資格の欄です。
3-4. 受ける前に、修正の回数と締切を文字で残す
受注が決まったら、作業に入る前に3つを文字で確認します。
- 修正は何回まで料金に含むか(3回まで、など数で決める)
- 修正の依頼はいつまでに出してもらうか(納品から◯日以内)
- こちらが返事を返せる時間帯(夜9時以降、土日は日中も可、など)
とくに1つ目です。回数を決めていない案件は、いくらでも修正が来ます。
図面の修正依頼は、相手にとっては1行のメッセージです。
受ける側にとっては、また週末がひとつ埋まる話になります。
この差を埋めるのが、受注前の1文です。
修正を決めごとに入れる考え方そのものは、単価の決まり方を整理した記事の4-4で、含める回数・修正と追加作業の境目・最終確認をする人の3点にまとめています。
週末だけで動く人がここに足すのは、回数を週末に換算しておくことです。
無料で応じる修正が3回なら、それは週末3回ぶんの予定と同じ重さになります。
言い方は難しく考えなくて大丈夫です。
「修正は3回まで料金に含みます。4回目以降は1回あたり◯円で承ります」と書いておけば足ります。
受注の前に一度だけ、これを送っておきましょう。
4. 道具にかかる固定費は、始める前に出します
受ける案件の形が決まったら、次は手元の道具です。
在宅のCADを副業でやるなら、ここは「いくらかかるか」より「毎月いくら出ていくか」で見ます。
土日のみの稼働だと動く時間が少ないぶん、固定費の重みが増します。月に16時間しか動かない人にとって、毎月出ていくソフト代は時間あたりの受取額をそのまま削る費用です。
| 選択肢 | 費用 | 報酬を受け取る仕事に使えるか |
|---|---|---|
| Jw_cad | 無料 | 使える。Windows 10と11で動く2次元汎用CAD |
| 個人用 Autodesk Fusion | 無償の機能限定版 | 条件つき。自宅での非商用の利用が前提。そのうえで年間総収益1,000米ドル未満の個人が対象 |
| 有料の契約(月払い・年払い) | 毎月かかる | 使える。取引先の指定に合わせやすい |


この3行の意味を、順に見ていきます。
4-1. 無料で始められるソフトがあります
2次元の図面なら、無料のソフトから始めてかまいません。
Jw_cadの公式サイトでは「Windows 10, 11 上で動作する2次元汎用CADです」と説明されています。
著作権および使用条件のページには「このプログラムはフリーソフトウェアーです」「このプログラムの対価として、著作権者に金銭を支払う必要はありません」と書かれていて、用途を非商用に限る記載はありません。
最初の1件を取るまでは、ここから始めても不利にはなりません。
ただし同じページには、このプログラムを使ったことで発生した損害は補償しないことも書かれています。
仕事に使うなら、納品したデータの責任は自分の側にあると考えておきます。
出典 Jw_cadのページ(公式サイト)/同「著作権及び使用条件」(公式サイト・2026年8月9日確認)
ここからは公式サイトに書かれていない、こちらの段取りの話です。
取引先が別の形式での納品を指定してくることもあるので、応募の段階で「納品形式は何ですか」と確認しておくと、受けたあとで困りません。
4-2. 個人用の無償版が使える範囲には収益の線があります
ここは読み飛ばすと危ないところです。
「個人なら無料で使えます」と案内されているソフトにも、使える範囲の決まりがあります。
オートデスク社の公式ページを見てみましょう。
個人用 Autodesk Fusion について「自宅で個人的に非商用目的のプロジェクトを行う場合に限り、無償で基本機能をご利用いただける機能限定版です」とあります。
そのうえで対象は「Autodesk Fusion を使用した作業による年間総収益が 1,000 米ドル未満の個人ユーザー」とされています。
報酬を受け取った瞬間に対象から外れる、という意味ではありません。
そのソフトを使った作業から得ている年間の総収益が1,000米ドル未満なら、公式ページが対象として示す範囲の中にいます。
そこを超える見込みが立った時点、あるいは商用で使う時点で、有償の契約へ移ります。
副業として続けるなら、どこかでこの線に届く前提で考えておくほうが安全です。
条件はソフトごとに違うので、使う前に利用条件のページを確かめておきましょう。
出典 オートデスク「個人用 Autodesk Fusion」(公式サイト・2026年8月9日確認)



じゃあ最初のうちは、無償版のままでもいいってこと?



条件の中にいるあいだは、そうです。
ただ、線に届いてから慌てて切り替えると、納品の途中でソフトが変わることになります。
月の受取額を記録しておいて、近づいてきたら先に移すほうが落ち着きますよ。
4-3. 有料の契約は何回の週末で戻せるかで判断します
有料の契約を結ぶかどうかは、金額の高い安いでは決めません。
その金額を、自分の稼働で戻せるかどうかで決めます。
出し方は簡単です。
- 年払いなら12で割って、1か月あたりの金額にする
- その金額を、自分の時間あたりの受取額で割る
- 出てきた時間数が、月の稼働時間に収まるかを見る
年払いで36,000円なら、12で割って月3,000円。
まずこの形にそろえてから、時間あたりの受取額で割ります。
たとえば月あたり6,000円かかる契約で、自分の時間あたりの受取額が1,000円なら、6時間ぶんが道具代に消えます。
月16時間の人なら、稼働の4割近くです。言いかえると、月4回の週末のうち1回半はソフト代のために描いていることになります。
この割合を見てから、契約するかどうかを決めます。
順番としては、無料のソフトで最初の数件をこなし、取引先から形式の指定が来た段階で有料へ移る。
これなら、受注が無い月に固定費だけが出ていく期間を作らずに済みます。
5. 実績がないなら、見本を1枚つくるのが近道
道具の話が済んだら、次は何を見せて仕事をもらうかです。
在宅のCADを副業で始めるとき、検定の勉強から入りたくなりますが、順番としては後ろで構いません。
先に用意するのは、自分が同じ品質で出せることを示す図面1枚です。
5-1. 検定は日程を自分で選べるものから見ます
検定に意味があるかどうかは、狙う相手で変わります。
資格そのものの位置づけは別の記事に置いてあるので、ここでは土日しか動けない人にとっての受けやすさだけを見ます。
CAD利用技術者試験を実施しているコンピュータ教育振興協会の案内では、2026年度の2次元の試験について、基礎は自宅からでも受けられる形式で随時実施、個人受験の受験料は5,500円(税込)とされています。
2級は試験会場での受験で、こちらも随時実施、個人受験は7,150円(税込)です。
基礎は申し込みの手続きが済みしだい随時で、自宅からの受験もできる形です。
2級は会場へ出向きますが、こちらも随時実施で、日程と開始時間は会場のスケジュールから選びます。
受験資格の制限は、どちらにも設けられていません。ただし2級は移動の時間が週末から引かれるぶん、自宅で受けられる基礎とは重さが違います。
同じ協会が公開している統計では、2025年度の合格率は2次元の基礎が82.31%(受験554人・合格456人)、2次元の2級が54.02%(受験3,469人・合格1,874人)でした。
受験した人の経歴までは公表されていないので、この数字だけで難しさは決められません。
とはいえ基礎は費用も小さいので、腕試しの1回目としては置きやすい位置にあります。
出典 一般社団法人コンピュータ教育振興協会「CAD利用技術者試験」/同「統計情報」(2026年8月9日確認)
5-2. 週末2日でつくれる見本の決め方があります
見本づくりに週末を何回も使ってしまうと、応募にたどり着く前に息切れします。
ここは1回の週末で閉じると決めておきましょう。
決め方はひとつです。自分が受けたい案件と同じ種類のものを、1点だけ選びます。
平面図のトレースを狙うなら平面図を1枚。設備の図面を狙うなら設備を1枚。
種類がそろっていれば、枚数は要りません。
そのうえで、かかった時間を添えておきます。
「この内容なら3時間で出せます」と実物で示せると、相手は自分の予定に組み込めるようになります。
見せ方というのは、凝った装飾のことではありません。
線の太さがそろっていること、文字が図と重なっていないこと、印刷したときに寸法が読めること。
この3つで足ります。
題材は、実在の物件でなくて構いません。
自宅の間取りを実測して起こしたものでも、見せ方さえ整っていれば十分に使えます。
ただし、前の勤務先の図面をそのまま出すのは避けてください。取引先の情報が入っているものは、見せた時点で問題になります。
5-3. 実績がないときに応募文へ書くこと
応募文に入れる要素そのものは、在宅副業の全体を扱った記事の7-1で4つに整理しています。
ここでは、図面の仕事と週末の稼働に固有のところだけを足しましょう。
- 使えるソフトと、その版(バージョン)。相手と同じでないと納品でつまずく
- 動けるのは土日のどちらか、両方か。1回の週末に出せる時間もあわせて書く
- 見本1点と、それにかかった時間
実績がない状態で不利になるのは、経験の量ではありません。
相手から見て「この人がいつ動いて、いつ返してくれるか」が読めないことです。
そこを先に埋めた応募文は、実績がなくても相手が判断できる材料になります。
たとえば、こんな書き方です。
「AutoCAD 2024が使えます。動けるのは土日の両方で、1回の週末に出せるのは4時間です。平面図のトレースを1枚添えました。3時間で仕上げたものです」。
これだけで、相手は自分の納期に間に合うかどうかを判断できるはずです。



「土日しか動けません」って正直に書いたら、落とされない?



合わない相手からは落とされます。
でも隠して受けると、合わない相手と契約してしまいます。
落ちるのは応募の段階、壊れるのは納期の段階。痛いのは後者ですよね。
6. 勤め先の規則と税金は、引き受ける前に確認する
在宅のCADを副業として受ける前に、済ませておくことが2つあります。勤め先の決まりと、税の手続きです。
ここでは、この分野だけに出てくる論点を1つだけ置いておきます。同業に当たるかどうかです。
厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)は、届出に基づいて副業を禁止または制限できる場合の1つに「競業により、企業の利益を害する場合」を挙げています。
いま設計や施工の会社に勤めていて、同じ分野の図面を個人で受けるなら、ここに触れる可能性が出てきます。
規則のどこを読むか(禁止か、許可制か、届出が要るか)は在宅副業の全体を扱った記事の3-2に手順があるので、確認はそちらでどうぞ。
同じ資料では、雇われる形のほかに請負や委託の契約による副業も範囲に含むとされています。
クラウドソーシングで図面を請け負う形も外れないので、「雇われるわけではないから関係ない」とは考えないほうが安全です。
迷ったら、受ける前に総務へ聞くのが早いです。受けたあとに聞くのとでは、返ってくる答えが変わります。
出典 厚生労働省「モデル就業規則について」(令和7年12月版・2026年8月9日確認)



税のほうは?



確定申告が要るかどうかの線と、住民税の徴収方法の選び方ですね。
どちらも図面の仕事に限った話ではないので、受注する前に一度目を通しておくとあとで慌てずに済みますよ。
7. 週末だけの稼働で、月にいくら届くかを計算します
最後に、お金の見込みを自分で出せるようにしておきましょう。
在宅のCADを副業として続けるなら、他人が書いた相場ではなく、自分の速さと自分の週末で計算した数字が要ります。
この計算ができると、目の前の案件を受けるかどうかで迷わなくなります。
7-1. 図面1枚に何時間かかるかを先に測ります
単価を時間あたりに直して比べる手順は、在宅副業の全体を扱った記事の5-1をどうぞ。
図面の仕事でその計算に足りないのは、1枚に何時間かかるかという自分の数字のほうです。
これは募集ページには書かれていないので、自分で測るしかありません。
同じ1枚2,000円の案件でも、3時間かかる人と1時間半で出せる人では時間あたりが倍違います。
だから最初の数件は、金額よりも「自分は1枚に何時間かかるのか」を測るために受けましょう。
このとき、描いていた時間だけを数えると実態から外れます。資料を読む時間も、質問と返信の時間も、納品形式をそろえる時間も乗るからです。
総時間に何を含めるかは単価の決まり方を整理した記事のほうで細かく分けているので、測り方を固めたい方はあわせて読んでみてください。
ここまでの数字を、月16時間の例に当てはめてみます。
時間あたり1,000円の案件を選べば月16,000円、1,300円まで上げられれば月20,800円。
ただしこの掛け算は、週末だけの稼働だともう少し目減りします。
7-2. 1週間空けたあとの点検を時間に足します
2つの週末にまたがった案件では、2週目の最初に、前の週の自分の作業を点検する時間が要ります。
どこまで確認済みで、どこが仮置きだったのか。
それを思い出すところからの再開になるので、手は動いているのに納品物は増えません。
この時間は請求できません。
どれくらいかかるかは人によって違うので、1件目で計ってみてください。
始めた時刻と、前週の見直しが終わって新しい作業に入れた時刻をメモするだけで出ます。
図面が複雑なほど長くなりますし、メモを残していれば短くなります。
たとえば1件あたり30分の点検が要るとして、月4件なら2時間です。
月16時間のうち2時間ですから、実際に納品物へ向かえるのは14時間。
さきほどの月16,000円は、14,000円くらいで着地する計算になります。
ここが分かると、1回の週末で閉じられる大きさに切って受ける、という話を数字で裏づけられるはずです。またぐ案件を受けるかどうかを、感覚ではなく金額で判断できるようになりますよ。
7-3. 半年後に増やすなら変えるところは3つです
週末の稼働時間そのものは、そう増やせません。土日は2日しかないからです。
だから増やせるところは3つに絞られます。
- 1時間あたりに仕上げる量を増やす(同じ作業を繰り返して速くする)
- 同じ作業でも高く払う相手に移る(相手を替える)
- 毎回ゼロから探すのをやめる(同じ相手から続けて受ける)
いちばん効くのは3つ目です。
案件を探して、応募文を書いて、条件を確認する。この一式に毎回30分かかっているとしたら、月4件で2時間です。続けて受けられるぶんだけ、その時間が作業に回ります。
単価が同じでも、月の手取りは増えます。
続けて受けるために要るのは、うまい売り込みではありません。
納品のときに次の話をしておくことです。
「同じ形式の図面なら、来月も週末で2枚まで受けられます」と一行添えておくと、相手は次に声をかけやすくなります。



結局いちばん大事なのって、速く描くことじゃないんだね。



速さも効きます。ただ、速さが効くのは受注が続いてからです。
先に効くのは、約束した日に約束したものを出すことです。
地味ですが、ここが守れる人に次の依頼が来ます。
8. まとめ
ここまでの話を、今日から使える形にまとめます。
副業として在宅でCADをやれるかどうかを決めるのは、図面の腕前の前に、時間の形と納期の条件です。
- 週末だけで回るのは、答えが手元の資料の中にある作業。手を止めても戻れるものから受ける
- 募集で先に読むのは、納期までに土日が何回あるか・途中提出の有無・連絡の頻度の3つ
- 「在宅」と書かれていても勤務時間は別の話。勤務時間の欄と応募資格の欄を読む
- 無償のソフトには使える範囲が決められている。年間の収益額で線が引かれることもある
- 検定より先に見本1枚。月の見込みは稼働時間から点検ぶんを引き、時間あたりの金額を掛ける
今週やることは1つで十分です。
カレンダーを開いて、今月あと何回の土日が空いているかを数えてみてください。
その回数が、受けられる案件の大きさを決めます。



よし、今夜カレンダー見て土日を数えるところからやってみる!
それで案件も1個だけ、条件で選んでみるね。



その順番でいいと思います。
探す前に自分の時間を数えておくと、案件に振り回されずに済みます。
1件目が閉じると、次の応募で出せる材料が1つ増えるはずです。かかった時間も実物も自分の言葉で出せますよ。










