「宅建 副業 在宅」で検索すると、求人サイトと「おすすめ4選」のような記事が並びます。
ただ、並んでいる仕事を上から順に見ても、自分がどれに応募できるのかは分からないままではないでしょうか。
理由ははっきりしています。
宅建という資格は、使える場面と使えない場面が法律で分かれているからです。
そして在宅でできるかどうかを分けるのも、この線引きです。
テン宅建持ってたら、家にいてもなんか仕事もらえるんじゃないの?



半分だけ合っています。
宅建士にしか任せられない仕事は法律で決まっていて、その多くは免許を受けた宅地建物取引業者の中でしか動きません。
一方で、試験勉強で覚えた知識のほうは、資格の枠の外側で売れます。在宅で成立するのはこちらです。
この記事では、宅建を持っている人とこれから取る人が、在宅の副業として何を選べるのかを、法律の線引きから順に見ていきます。
在宅副業を5つの型に分け、金額の壁ごとの作り替え方まで見たい方はこちらから。


1. 宅建を活かす副業は在宅でどこまでできるのか


先に、この記事全体の見取り図を置きます。
宅建を活かす副業を在宅でやろうとする人がつまずくのは、たいてい同じ一点。
「資格を持っているのに、応募できる在宅の仕事が見当たらない」という場所です。
つまずく原因は、探し方でも実力でもありません。
宅建士だけができる仕事が、法律で宅地建物取引業者の側にひもづけられているからです。
まずそこを確認します。
1-1. 宅建士にしかできない仕事は法律で決まっている
宅地建物取引業法という法律があります。
この法律は宅地建物取引業者に対して、自ら売主になる場合も、代理や媒介をする場合も、契約が成立するまでの間に宅地建物取引士をして重要事項を説明させなければならない、と定めています(35条1項)。
書面への記名義務も同じ条にあり、こちらは宅地建物取引士本人が負う形です(35条5項)。
契約が成立したあとに渡す書面も同じです。
こちらも宅地建物取引士に記名させなければならない、と定められています(37条3項)。
条文はここで確認できます。
e-Gov法令検索 宅地建物取引業法
注目してほしいのは、35条1項と37条3項で義務を負っているのが宅地建物取引業者だという点です。35条5項の記名だけが、宅建士本人の義務になります。
ここでいう宅地建物取引業者とは、3条1項の免許を受けて宅地建物取引業を営む者のことです(2条3号)。
「業者」と聞くと会社を思い浮かべますが、法人に限られません。
免許の申請書にも「法人である場合」と「個人である場合」が並んでいて、個人のまま免許を受ける道が用意されています(4条1項2号・3号)。



ここが在宅の話に直結します。
説明をするのは宅建士ですが、説明させる義務を負っているのは宅地建物取引業者です。
だから免許を持たない個人が、業者を通さずに重要事項説明だけを直接請ける形は成り立ちません。自分で免許を取れば別ですが、それは副業ではなく開業です。
1-2. 在宅で売れるのは資格ではなく知識のほう
では宅建は在宅で使えないのかというと、そうではありません。
使えるものが資格そのものではなく、資格を取る過程で覚えた知識だというだけです。
不動産の記事を書く、試験の解説をする、物件の調査を下請けする。
どれも法律で資格が必要とされている仕事ではありません。
名乗るだけなら誰にでもできます。
それでも宅建を持っている人が有利になるのは、発注する側が「この人は用語を間違えない」と判断できるからです。
資格は、仕事を独占する札としてではなく、書類を読める人だと示す材料として効いてきます。
求人票に「宅建保有者歓迎」と書かれていない仕事でも、応募文に資格を書いておくのは有効です。
読み手が判断に使える材料が1つ増えます。



じゃあ資格なくても同じ仕事できちゃうってこと?
なんかもったいなくない?



できます。ただ、発注側は誰に頼むか選べる立場です。
同じ値段なら、登記簿と重要事項説明書を読んだことがある人に頼みます。
資格は、その選ばれる側に入るための材料になります。
1-3. 宅建士として働くには登録と取引士証がいる
もうひとつ、最初に確かめておくことがあります。
試験の合格と、宅建士として働ける状態は別物です。
登録を受けた人が、登録をしている都道府県知事に宅地建物取引士証の交付を申請でき(22条の2第1項)、申請前6月以内に行われる法定講習を受ける必要があります(同2項)。
ただし試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする人は、この講習が不要とされています。
交付された取引士証の有効期間は5年です(同3項)。
ただし登録を別の都道府県に移したときに交付されるものは、移転前の残りの期間が有効期間になります(同4項・5項)。
つまり、合格から時間が空いている人ほど、宅建士として働き始めるまでに手続きの時間がかかります。
在宅の仕事を探す前に、自分が今どの状態なのかを確かめておくのが先です。
試験に合格しただけ … 宅建士としての仕事は受けられない。知識を売る側から始める
登録済み・取引士証なし … 交付申請と法定講習の確認から
取引士証あり … 宅建士としての在宅案件も候補に入る
2. 資格が値段になる仕事と、知識が値段になる仕事
ここからが本題です。
宅建まわりの仕事は、資格そのものが値段になっている仕事と、知識が値段になっている仕事の2つに分かれます。
この2つは、探す場所も、応募のしかたも、報酬の決まり方も違います。
同じ「宅建を活かす副業」という言葉でくくられているのが、迷いの原因です。
分けて見れば、自分が今日から動ける側がはっきりします。
2-1. 独占業務は事務所と免許にひもづいている
資格が値段になっているのは、1-1で見た仕事です。
重要事項の説明と、2種類の書面への記名。
この3つは宅建士でなければ担えません。
ただし、これらはすべて、免許を受けた宅地建物取引業者の業務の中で起きます。
その業者に雇われるか、業務委託の契約を結ぶか。
どちらかの形で業者とつながっていない限り、この仕事は手元に来ません。
求人サイトで宅建の在宅案件が正社員やパートの募集として並ぶことが多いのも、この形と地続きです。
仕事の中身が業者自身の業務なので、外注ではなく雇用の形になじみます。
募集の文面に「宅建士」とあっても、実態は業者の中の一員として動く形だと考えておくと、応募先の見え方が変わります。
例外は、自分で免許を受けて業者になる道です。
ただし免許は事務所を構えることが前提で、その事務所には専任の宅建士を置かなければなりません(3条1項、31条の3第1項)。
在宅で片手間に始める形とは相性がよくないので、目指すなら副業ではなく開業として計画するほうが現実的です。
2-2. 知識が値段になる仕事は資格の有無を問われない
もう一方は、宅建の知識を材料にして何かを作る仕事です。
記事、解説、調査結果、書類の下書き。
納品するのは文章やデータであって、法律上の説明ではありません。
この側の仕事は、クラウドソーシングや直接のやりとりで受けられます。
業者に所属していなくても成立し、作業する場所も問われないのが特徴です。
在宅の副業として現実に回るのは、ほぼこちら側です。
受け方も資格の側とは違います。
応募のときに見られるのは免許でも取引士証でもなく、過去に何を作ったかです。
だから最初の1件をどう取るかがそのまま入り口になり、書いたものが1本あるかどうかで通り方が変わります。
見せられる物が1つあるかどうかが、最初の分かれ目です。



え、資格ある側のほうが強いんじゃないの?
わざわざ知識の側から始める意味ある?



どちらが上ということではありません。
資格の側は単価が安定しますが、時間と場所の自由が減ります。
知識の側は自由ですが、最初の実績を自分で作らないといけません。
2-3. 在宅で始めるなら知識の側から入る
どちらから始めるかで迷うなら、知識の側からで問題ありません。
理由は3つです。
- 取引士証が手元になくても今日から動ける
- 作業した記録がそのまま実績になり、次の依頼につながる
- 会社の勤務時間に縛られないので、本業と重ならない
宅建士としての在宅案件を狙う場合も、知識の側で書いた文章や作った資料は使えます。
「読める人だ」と示す材料が増えるからです。
先に片方を捨てる必要はありません。
| 見分け方 | 仕事の例 | 在宅でできるか | 報酬の決まり方 |
|---|---|---|---|
| 資格が値段になる | 重要事項の説明、35条書面と37条書面への記名 | 業者と契約していれば可。単独では不可 | 時給や月額で決まる |
| 知識が値段になる | 不動産の記事、試験対策の解説、調査と書類づくり | 可。所属を問われない | 1本いくらの成果物で決まる |
この分かれ目でつまずくのは宅建だけではありません。
資格で独占されている仕事と、知識で受けられる仕事が別々になっている点は、他の士業でも同じです。
行政書士の在宅副業を扱った記事も、同じ分け方で整理しています。
3. 資格を持つ人が在宅の副業で選べる5つの仕事


ここでは、宅建を活かす在宅の副業として実際に選べる仕事を5つ挙げます。
並び順は、資格が効く順です。
上の2つは資格が効きやすく、下の3つは知識だけで始められます。
どこから入るかを決めるのは、今どこまで手続きを終えているかです。
3-1. オンラインでの重要事項説明を任される
宅建業法35条は、宅建士をして説明をさせなければならないと定めていますが、説明する場所を対面に限るとは書いていません。
書面についても、相手方の承諾を得れば電磁的方法で提供できるとされています(35条8項、37条4項・5項)。
37条書面の電子提供は、売買と交換が4項、賃貸が5項です。
だから、画面越しに説明して電子で書面を渡す形は、法律の上で成り立ちます。
賃貸の繁忙期に、説明の担当だけを外部の宅建士に頼む形も、制度の上では成り立ちます。
ただし1-1で見たとおり、説明させる義務を負うのは宅地建物取引業者です。
受けるには、その業者と雇用か委託の関係を結ぶ必要があります。
取引士証が手元にあることが前提になります。
受け方は求人サイトの「宅建士・在宅可」の募集か、勤め先や知人の業者からの直接の声かけが中心です。
報酬は時給か1件あたりで決まり、説明にかかる時間がそのまま単価の基準になります。



家から説明して終わりなら、いちばん楽そうに聞こえるんだけど?



時間が相手の都合で決まる点だけ注意してください。
入居希望者が動くのは平日の夜と土日です。
本業の後に入るなら、そこが空いているかを先に見ておきましょう。
3-2. 不動産の記事を書く
不動産や住宅ローンの記事には、書ける人が求められます。
用語を間違えると読者からも発注元からも指摘が入るため、書ける人の取り合いになりやすい分野です。
宅建の勉強をした人は、この分野の言葉を正しい意味で使えます。
登記、抵当権、媒介契約、こうした言葉を説明つきで書けるだけで、応募の段階で差がつきます。
用語の誤りを自分で見つけられる人は、発注側から見ると校正の手間が減る相手です。
必要なものは、資格よりも「書いた文章の見本」です。
1本でいいので、公開されている記事か、自分のブログの記事を用意しておきます。
受け方はクラウドソーシングの募集か、メディアの寄稿者募集への直接応募が中心です。
単価は文字数と、直しがどれだけ入るかで決まります。
初稿がそのまま通る人ほど、次から単価の交渉がしやすくなります。
最初の1本は単価が低く感じるはずです。
ただ、書いたものは公開されて残ります。
次の応募で見せられる材料になるので、初回の単価だけで判断しないほうが得です。
3-3. 試験対策の解説と添削をする
自分が合格したという経験は、そのまま商品になります。
過去問の解説、勉強計画の相談、模試の添削。
どれも在宅で完結しますし、相手が受験生なので繁忙期も読めます。
ここで効くのは合格した事実そのものではなく、どこでつまずいたかの記憶です。
民法のどの論点で手が止まったか、業法をいつから詰めたか。
受験生が知りたいのはそこです。
合格体験記に書かれない部分ほど、金額がつきやすい情報になります。
必要なものは、合格の証明と、自分がつまずいた場所の記録。
受験票や合格証書の控えを手元に置き、勉強中に詰まった論点をメモに起こしておきます。
受け方は、資格スクールの添削スタッフの募集に応募する形か、スキル販売のサイトに自分で講座を並べる形です。
単価は、添削の枚数や相談の時間で決まります。
合格から時間が経つほど、この記憶は薄れます。
合格直後の人ほど有利な、めずらしい仕事です。
試験が終わった年のうちに一度やっておくと、記憶が残っているうちに形にできます。
3-4. 調査と書類づくりを請け負う
不動産会社の中には、調査と書類の作成だけを外に出しているところがあります。
登記情報の取得、法令の制限の確認、重要事項説明書の下書き。
どれも手間がかかるわりに、社内では後回しにされやすい仕事です。
外に出す判断がされやすいのは、この後回しの部分です。
下書きの作成そのものは資格が要る行為ではありません。
最終的に説明と記名をするのは、その業者の宅建士です。
だから在宅で受けられます。
必要なものは、登記簿と重要事項説明書を読んだ経験です。
様式は会社ごとに違うので、最初の1件は先方の雛形に合わせる前提で受けます。
役所への照会が入る調査だと、平日の日中に動けるかどうかが条件になることもあります。
単価は1件あたりで、調べる範囲が広い物件ほど上がるのが普通です。
この仕事は求人票の形になりにくいものです。
前職のつながりや、地元の業者への直接の売り込みから入ることになります。
知り合いに不動産関係の人がいるなら、そこから聞いてみるのが早い道です。
3-5. 自分の賃貸運用を発信する
自分で物件を持っている、あるいはこれから買う予定がある場合は、その過程を発信する道もあります。
物件を探した記録、金融機関とのやりとり、入居者が決まるまでの流れ。
これは即金にはなりません。
ただ、宅建の知識と自分の実際の動きが重なるので、他の人が書けない内容になります。
時間はかかっても、後から仕事の依頼につながる形です。
必要なものは自分の物件と、動いた記録です。
買う前の検討段階から残しておくと、あとで書ける範囲が広がります。
受け方という言い方はなじみませんが、発信を見た人からの相談や執筆の依頼という形で返ってきます。
単価は決まっておらず、何本たまったかで後から効いてくるのが特徴です。
| 仕事 | 必要なもの | 在宅でできるか | 報酬の形 |
|---|---|---|---|
| オンラインでの重要事項説明 | 取引士証と業者との契約 | 可。時間は相手の都合で決まる | 時給や1件あたり |
| 不動産の記事を書く | 書いた文章の見本 | 可。時間の自由が効く | 1本いくら |
| 試験対策の解説と添削 | 合格した経験とつまずきの記憶 | 可 | 1件あたりや月額 |
| 調査と書類づくり | 業者とのつながり | 可 | 1件あたり |
| 自分の賃貸運用の発信 | 自分の物件と記録 | 可。すぐには収入にならない | 後から依頼として返る |
4. 会社員が始める前に確かめておく3つの決まり


仕事の中身が決まったら、次は宅建の副業を在宅で始める側の条件を確認します。
会社に勤めながら始める場合、勝手に動くと後から面倒になる箇所が3つあります。
どれも先に確かめておけば数十分で終わる話です。
始めてから気づくと、受けた仕事を途中で降りることになります。
4-1. 就業規則が禁止しているのは何かを読む
「副業禁止」と書いてあっても、書きぶりは会社によって違います。
全面的に禁じているのか、許可を取れば認めるのか、同業だけを禁じているのか。
この3つは、やることがそれぞれ違います。
就業規則は、社内のイントラか総務で誰でも読める形になっているのが普通です。
まず現物を開いて、副業や兼業の語が出てくる条を探します。
手元にない場合は、総務に「就業規則の副業に関する規定を確認したい」と伝えれば足ります。
聞くこと自体は申請ではないので、身構えなくて大丈夫です。
| 就業規則の書きぶり | 実際にやること | 注意する点 |
|---|---|---|
| 副業を禁止する、と書いてある | 許可の規定があるか探す。あれば申請する | 口頭の了解で進めない。記録の残る形にする |
| 許可を得れば認める、と書いてある | 申請して回答をもらう | 申請の内容と実際の仕事をずらさない |
| 何も書いていない | 上長か人事に一度確認する | 同業かどうかで判断が変わる |



面倒に見えますが、ここを飛ばすと後で困るのは自分です。
申請して断られたとしても、その時点なら仕事を受ける前なので誰にも迷惑がかかりません。
4-2. 専任の宅建士は掛け持ちができない
すでに不動産会社に勤めていて、専任の宅地建物取引士になっている人は、ここが最も大きな制約になります。
宅建業法は、事務所と、案内所など省令で定める場所(事務所等)ごとに、国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならないと定めています(31条の3第1項)。
その数を決めているのが施行規則15条の5の3です。
事務所については、そこで宅建業の業務に従事する人数に対して5分の1以上になる数、案内所など事務所以外の場所については1人以上、という中身になっています(条文の言い回しを平たく言い換えました)。
条文そのものに「掛け持ちを禁止する」と書いてあるわけではありません。
ただ「専任」という言葉が付いている以上、名前だけを置いて別の業者の業務に就くのは、条文の想定から外れる形です。
勤務先がこの人数の要件を満たせているかは、誰を専任として届け出ているかで決まります。
そこから外れる働き方になるかどうかは、条文だけでは判断がつきません。
自分が専任として届け出られているかどうかを、まず勤務先に確認してください。
この立場の人が在宅で動くなら、宅建士としてではなく知識の側、記事や試験対策から入るほうが安全です。
それでも勤務先への確認は先に済ませてください。
4-3. 勤務先と同じ商売に近づくときは先に相談する
勤務先が不動産会社の場合、在宅で受ける仕事の中身によっては競業とみなされます。
記事を書くだけでも、勤務先と同じ地域の物件を扱う会社の依頼なら、話は変わります。
線引きは、勤務先の顧客を奪う形になるかどうかです。
同じ地域の同じ業態に向けて書く仕事は、近いと見られやすい部類に入ります。
逆に、受験生向けの解説や、勤務先と商圏が重ならない相手の仕事は、説明がつきやすくなります。
判断に迷ったら、受ける前に相談してください。
黙って始めて後から発覚するのと、先に相談して断られるのとでは、その後の働きやすさが違います。
相談するときは、誰の仕事を、どの範囲で受けるのかを紙1枚にして持っていくと早いです。
口頭で「副業をしたい」とだけ伝えると、判断する側が最も広い意味に取るので、通る話も通りにくくなります。



相談したら止められそうで、言い出しにくいんだけど……



止められる可能性はあります。
ただ、止められる仕事は、続けていたらいずれ問題になる仕事です。
早い段階で分かったほうが、別の仕事に切り替える時間が残ります。
5. 報酬を決めるのは資格ではなく、渡せる成果の量


在宅の副業を始めた人が最初に落ち込むのは、報酬の低さです。
資格を持っているのに、なぜこの金額なのか、と感じます。
ここは仕組みを知っておくと、落ち込まずに済みます。
報酬を決めているのは資格ではないからです。
5-1. 時間を売る形と、成果物を売る形
在宅の仕事は、報酬の決まり方で2つに分かれます。
働いた時間に対して払われる形と、納品したものに対して払われる形です。
宅建まわりの在宅案件は、この2つが混ざって募集されています。
時間で決まる形は、収入の見通しが立ちます。
いくら働けばいくらになるかを先に計算できるのが利点です。
そのかわり、働ける時間が収入の上限になります。
本業がある人の場合、この上限はかなり低いところで頭打ちです。
成果物で決まる形は、最初は割に合いません。
1本目に何時間かかったかを時給に直すと、たいてい落ち込みます。
ただ、同じものを速く作れるようになった分がそのまま自分の取り分です。
2本目、3本目と作るほど、かかる時間は短くなります。
どちらを選ぶかは、空いている時間の形しだいです。
毎週決まった曜日に数時間まとめて取れる人は、時間を売る形が向いています。
細切れの時間しか取れない人は、成果物を売る形のほうが回しやすいはずです。
最初は成果物の側で1本作ってみて、時給に直してから考えるのでも遅くはありません。
5-2. 資格は入口の信用になるが、単価そのものは決めない
宅建を持っていることは、選ばれる確率を上げます。
応募が並んだとき、上のほうに置かれやすくなるのは確かです。
ただ、発注側が単価を決めるときに見ているのは別のものです。
どれくらいの量を、どれくらいの速さで、どれくらい直さずに出せるか。
つまり渡せる量です。
資格が単価に効く場面がないわけではありません。
宅建士でなければ担えない仕事は、そもそも資格のない人が入れないので、募集の時点で金額の幅が変わります。
ただしそれは資格が単価を上げたのではなく、入れる市場が違うという話です。



資格取ったのに、単価に効かないってこと?



効き方が違うだけです。
資格は「この人に頼んでいいか」を判断する材料なので、選ばれる場面で効きます。
そこから先の金額は、期日どおりに、直しの少ないものを、どれだけ出せるかで動きます。
資格で入り口を通り、量で単価を上げる。
この順番を逆にすると、「資格があるのに評価されない」という感じ方になります。
先に量を見せた人ほど、資格の話をしなくても単価が動きます。
5-3. 最初の3か月は実績を作る期間にする
始めてすぐの時期に、収入で成否を判断しないでください。
1件目の金額は、その後の伸びとほとんど関係がありません。
判断すべきなのは、次の依頼が来たかどうかです。
金額が動き始めるのは、そのあとです。
同じ人から2回目の依頼が来たなら、その仕事は続きます。
来なかったなら、納品物か納期のどちらかに理由があります。
聞ける相手なら、断りの理由をそのまま聞いてしまうのが早いです。
そこを直すほうが、新しい応募先を探すより近道です。
1か月目は、出すこと自体を目標にしてかまいません。
2か月目に見るのは、かかった時間が短くなったかどうかです。
3か月目でようやく、単価の話を持ち出せる状態になります。
そのときに使うのは、資格ではなく納品の履歴です。
この順番を飛ばして最初から単価を上げにいくと、断られた理由が分からないまま止まります。
同じ発注者から2回目の依頼が来たか
1本にかかる時間が短くなったか
次に受ける仕事を自分で選べる状態になったか
6. 知識を在宅の副業に変える最初の30日の進め方
最後に、在宅の副業として動き出すまでの進め方を30日で区切って置いておきます。
期間を区切るのは、決められないまま探し続ける時間をなくすためです。
取引士証がある人は3-1から、まだの人は3-2か3-3から入る前提です。
6-1. 1〜10日目 手元にある知識を書き出す
最初の10日は、応募をしません。
求人を見る時間もいったん止めます。
自分が説明できることを書き出す期間です。
試験で覚えた範囲のうち、人に聞かれて答えられるものだけを選びます。
そのうえで、1つにつき800字くらいの説明文を3本作ります。
800字は、募集要項に添える見本としてちょうど読み切れる長さです。
これが応募のときに見せる材料です。
題材は、受験生がつまずく論点でも、実務で聞かれる用語でもかまいません。
大事なのは、調べ直さずに書けるものを選ぶことです。
知っている範囲が狭くても、この段階では困りません。
調べながら書いた文章は、面談で同じことを聞かれたときに答えに詰まります。
3本そろったら、誤字だけ直して1つのファイルにまとめておくと楽です。
この作業は面倒に感じますが、飛ばすと後で必ず戻ってきます。
「実績がないので応募できません」と止まる人は、ここを作っていないだけです。
応募が通り始めるのは、先に作った人からです。
6-2. 11〜20日目 応募文と見積もりを作る
次の10日で、応募する先を選んで送ります。
このとき、応募文に書くのは資格の名前ではありません。
書くのは、6-1で作った説明文と、自分が何を何日で出せるかです。
発注側が知りたいのは、頼んだものが期日に届くかどうかに尽きます。
資格の話は、その次に効く材料です。
送る先は、クラウドソーシングの募集を中心に、5件から10件を目安に選びます。
数を絞るより、条件の近いものを幅広く出すほうが返事の総数は増えます。
1件ごとに文面を全部作り直さなくても大丈夫です。
冒頭の1段落だけを相手に合わせて書き替えれば足ります。
そこに、募集文のどの部分に応えられるかを1文で書きます。
1件だけ送って返事を待つ形にしないでください。
返事が来ない理由は自分では分かりません。
複数に送って、返ってきたところから進めるほうが早く終わります。
返事が来た順に対応していけば、選ぶ手間も省けるはずです。
まったく返事が来ないときは、送り先の条件を1段広げます。
6-3. 21〜30日目 納品して次につなげる
最後の10日は、受けた仕事を出し切る期間です。
新しい応募はいったん止めます。
ここで意識するのは、次の依頼につながる出し方をすることだけです。
納品のときに、直した箇所と迷った箇所を一緒に伝えます。
発注側にとっては、次に何を頼めるかが分かる材料になります。
直した箇所は、こちらの判断基準を示す手段です。
迷った箇所を書き添えるのは、自信のなさの表明ではなく、次の判断材料の受け渡しです。
次に同じ依頼が来たときに、どこを詰めればいいかが両方に残ります。
納品のあとに「次はこういうものも出せます」と1行だけ添えておくと、続きの相談につながりやすくなります。
30日を終えた時点で手元に残るのは、納品物1本と、やりとりの記録です。
次の月は、この2つを見せて応募するところから始まります。
求人を眺めていただけの月とは、応募文の中身が変わります。



30日やって、いくらくらいになるもんなの?



30日で大きな金額にはなりません。
ただ、この30日を終えた人と、求人を眺め続けた人とでは、次の月に見える景色が違います。
手元に納品したものが1本あるかどうかで、応募の通り方が変わるからです。
7. まとめ
宅建を活かす副業を在宅でやろうとするとき、最初に分けるべきなのは資格が値段になる仕事と知識が値段になる仕事です。
重要事項の説明と2種類の書面への記名は宅建士にしかできませんが、その義務を負っているのは免許を受けた宅地建物取引業者です。
業者は法人とは限らず、個人でも免許を受けられます(2条3号、3条1項)。
ただ免許には事務所と専任の宅建士が要るため、在宅の副業では業者と契約する側が現実的です。
取引士証の有無も先に確認してください。
一方で、記事、試験対策の解説、調査と書類づくりは、資格の有無を問われません。
在宅の副業として今日から動けるのはこちら側です。
- 会社員なら、就業規則の書きぶりを先に読む
- 専任の宅建士になっている人は、条文の禁止ではなく「専任」の要件から掛け持ちができない
- 報酬は資格ではなく、渡せる量で決まる
- 最初の30日は、収入ではなく2回目の依頼が来たかで判断する
求人を眺める時間を、説明文を3本作る時間に替えてみてください。
入り口は、たいていそこにあります。
在宅の副業そのものの選び方は、お金の入り方で5つの型に分けた記事にまとめています。
宅建以外の道も見ておきたい人はこちらもどうぞ。












